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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 集英社 |
発売年月日 | 1997/06/16 |
JAN | 9784087732269 |
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商品レビュー
5
2件のお客様レビュー
読み終えた。感想をまとめようにも、頭の中がとっ散らかって容易にまとまる気がしないので、年月を経て整理がついたのちに書きたい。引き受けたものが巨大すぎて感想が書けないのは、トルストイの『戦争と平和』以来、2度目。 あえて書き記すとすれば「YES」。これだけ伝えたい。
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ジョイスの『ユリシーズ』は、プルーストの『失われた時を求めて』と並ぶ近代文学の金字塔といわれる小説だが、『失われた時を求めて』とは、また全く違う難解さがある。 しかし、『失われた時を求めて』よりは、ずっと読破率が高いだろうと予測される。 なぜなら、『失時』とは量が違うし、筋だけ...
ジョイスの『ユリシーズ』は、プルーストの『失われた時を求めて』と並ぶ近代文学の金字塔といわれる小説だが、『失われた時を求めて』とは、また全く違う難解さがある。 しかし、『失われた時を求めて』よりは、ずっと読破率が高いだろうと予測される。 なぜなら、『失時』とは量が違うし、筋だけを追えばいいのであれば、1日の出来事の小説なので割と簡単にFINに辿りつくのだ。 だが、『ユリシーズ』は、そんな簡単な書物ではない。 『Ulysseus』とは、『Odysseus』のラテン名 ウリッセース の英語読みである。 『ユリシーズ』は、ホメロスの『オデュッセイア』を下敷きとして書かれており、まず『オデュッセイア』を完読していなければ、真に『ユリシーズ』を楽しむことは不可能といえる。 『ユリシーズ』は、十八の挿話によって構成され、その表題はすべて、『オデュッセイア』の重要登場人物や地名等をそのまま借用している。 もちろん、それだけではなく、小説すべてが『オデュッセイア』と照応しており、挿話の冒頭でどの部分に対応しているのかも明かされる。 『オデュッセイア』は、トロイア戦争終結後、ポセイドンの怒りに触れたため、10年もの間、漂流をし、やっと妻子の待つ故郷のイタケ島に帰り着くという物語であるが、ジョイスは、10年ではなく、たった1日の時の流れで『オデュッセイア』に呼応した『ユリシーズ』を書き上げている。 この一日というのは、1904年6月14日であり、場所はダブリン。 『ユリシーズ』の主要登場人物は、スティーヴンという22歳の詩人、学校教師と、レオポルド・ブルームという38歳の広告会社の営業のユダヤ人と、その妻モリー。 ちなみに6月14日は、ブルームズ・デイと呼ばれているらしい。この日は、ジョイスがのちの自身の妻となるノラとはじめてデートした日でもある。 ブルームの妻のモリーは、多くの求婚者を拒否しつづけ、貞淑の象徴 オデュッセウスの妻のペネロペと照応しているが、モリーは、夫のブルームと夫婦仲がしっくりいっておらず、浮気をする。 妻が浮気をすることを予知していても夫のブルームはそれを事前に阻止できない。 ジョイスは、1904年以来、ヨーロッパ各地を転々とし、アイルランドへも1912年以後は戻ることはなかったが、小説の舞台は常に故郷ダブリンだった。 『ユリシーズ』は、1904年のダブリンをそのまま閉じ込めて描かれており、 「たとえ、ダブリンが消滅するようなことがあっても、それは『ユリシーズ』に含まれている証拠から容易に復元できる」とジョイスが述べているとおり、 1904年6月14日 日の出日の入り、鉄道、船などの交通手段、人々の生活、通り、酒場などの様子、市民の生活等当時のダブリンを忠実に舞台として描いている。 また、『ユリシーズ』は、『オデュッセイア』の照応ということだけでなく、文体や言語遊戯という意味でも意義深い書物だ。 語り、弁証法、カノン形式によるフーガ、戯曲風、教義問答、句読点なしの科白などさまざまな手法が用いられている。 そして、多くの訳注がついているが、多ジャンルの芸術方面からの引用、比喩、符牒など、訳注によってジョイスの意図を汲み取りつつ読み進む。 最初、文庫で『ユリシーズ』を読みはじめたが、1巻を読んだところで、文庫本から単行本に変更した。 理由は、文庫本では訳注が巻末にあるので、いちいち後ろのページをめくりながら読まねばならず非常に読みにくかった。 単行本は、下に書いてくれていて、訳注が多すぎるためにページがずれこむことも多々あるが、文庫本のそれとは違って、やはり至便であった。
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