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まっぷたつの子爵 ベスト版 文学のおくりもの
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まっぷたつの子爵 ベスト版 文学のおくりもの

イタロ・カルヴィーノ(著者), 河島英昭(訳者)

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まっぷたつの子爵 ベスト版 文学のおくりもの

定価 ¥1,760

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 晶文社/
発売年月日 1997/08/30
JAN 9784794912435

まっぷたつの子爵

¥550

商品レビュー

4.2

11件のお客様レビュー

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2025/02/24

イタリアの青年貴族メダルドはトルコとの戦争で体の左半分を失う。無事帰還できたのは良いものの様子がおかしい。甥っ子の視点で描かれる奇想に満ちた寓話。 タイトルと装丁から勝手に児童文学のつもりで読んだので意外と重苦しい展開に驚いた。体がまっぷたつのまま生きている冗談みたいな設定なの...

イタリアの青年貴族メダルドはトルコとの戦争で体の左半分を失う。無事帰還できたのは良いものの様子がおかしい。甥っ子の視点で描かれる奇想に満ちた寓話。 タイトルと装丁から勝手に児童文学のつもりで読んだので意外と重苦しい展開に驚いた。体がまっぷたつのまま生きている冗談みたいな設定なのに子爵の得体の知れない挙動がひたすら不気味だった。毒キノコだけ選り分けて甥っ子にわたす叔父さんという不気味な存在。 鳩を木に縛りつけて松毛虫だらけにする独特のメッセージ方法など気持ちが悪すぎて逆に詩的でもあり、全体そうした奇想に満ちていて面白い。癩病患者たちの楽園「きのこ平」とか、その真逆で、規律と禁欲の塊みたいなユグノー教徒たちの姿、そしてエゼキエル老人の「ペストに飢饉だ!ペストに飢饉だ!」も妙に好きでメモを取ってしまった。 もしかしたら、政治の右翼・左翼を風刺しているのかもしれないが、そんなことは抜きにしても楽しめる寓話だった。 ところで米国SFドラマ『スタートレック』でもカーク船長が転送機の事故により2人に分かれるエピソードがある。善悪どちらに寄りすぎてもこの世からはみ出してしまうというアイデアは案外この作品から来ているのではと思うなどした。

Posted by ブクログ

2018/02/12

寓話的、と評されるイタリアの作家だけど…的というか完全に寓話。だからと言って大人の読書に耐えないかというとさにあらず。戦争でトルコの砲弾に立ち向かい縦真っ二つに切り裂かれた子爵。片方が善、片方が悪となって領地に戻った彼が巻き起こす騒動、という話。悪が悪なのはもちろんなのだが善が善...

寓話的、と評されるイタリアの作家だけど…的というか完全に寓話。だからと言って大人の読書に耐えないかというとさにあらず。戦争でトルコの砲弾に立ち向かい縦真っ二つに切り裂かれた子爵。片方が善、片方が悪となって領地に戻った彼が巻き起こす騒動、という話。悪が悪なのはもちろんなのだが善が善良過ぎてそれもまた悪と同じくらい迷惑、というところが良い。なかなか面白いので他の作品も読もうと思った。

Posted by ブクログ

2017/11/17

ぼくの叔父、テッラルバのメダルド子爵は、特に善くも悪くもなく、悪意と善意の入り混じった普通の人だった。 キリスト教徒とトルコ人との戦争に向かった叔父さんは、大砲の前に飛び出て身体を真っ二つに砕かれる。 叔父さんの右側は味方の医師たちにより生き返り、ぼくたちのいる領土に戻ってきたん...

ぼくの叔父、テッラルバのメダルド子爵は、特に善くも悪くもなく、悪意と善意の入り混じった普通の人だった。 キリスト教徒とトルコ人との戦争に向かった叔父さんは、大砲の前に飛び出て身体を真っ二つに砕かれる。 叔父さんの右側は味方の医師たちにより生き返り、ぼくたちのいる領土に戻ってきたんだ。 帰ってきた叔父さんは、花や動物を真っ二つにし、家々に火をつけて周り、小さな罪で領民を死刑にし、村娘のパメーラとの結婚とその後殺すことを望んで、それらの悪行を諌めようとした乳母のセバスティアーナを癪病患者たちの集落へと追いやった。ぼくだって何度も殺されかけた。 叔父さんは言ったよ。「完全なものは半分になるのだよ。半分になることによって無知で鈍い完全さから抜け出せる。私もかつて完全だったころ、すべてが自然で愚かしく混乱していた。だが私は世界の半分を失い、そして何千倍もの意味を持つ残る半分を得たのだ。美も知恵も正義も断片でしか存在しない」 だから村人は言った。あれはメラルド子爵の悪い半分だ。善い半分は戦場においてきてしまったんだ。 それでは叔父さんの左側は? それも戻ってきた。 叔父さんの左側は善意ばっかりでできていた。 でもそれは非現実的で非人間的だったんだ。 「私は自分がまっぷたつになったことにより、この世のすべての生き物が不完全であることの辛さに気付いたのだよ。以前私はいたるところにばらまかれた傷や苦しみに気が付かなかった。 だがまっぷたつになった今、かつては知らなかった連帯感を持てるようになった。この世のすべての半端な存在と、すべての欠如した存在感に対する連帯感だ」 ぼくたち領民は、叔父さんの善い半分にも悪い半分にもウンザリしていた。 ある時両方の叔父さんがそれぞれパメーラと結婚することになったんだ。 結婚式の場でパメーラを取り合う叔父さんたちは、決闘で勝負を付けることになったんだ…。 === 子供の目線と言うことで軽く書かれているけれど、領民たちや異教徒たちの生活は相当過酷だ。 第二次世界大戦をはさんで、母国イタリアが受けた傷、沈黙する文学界の圧迫感から書かれた小説。

Posted by ブクログ