王朝序曲(上) 誰か言う「千家花ならぬはなし」と 角川文庫10295

永井路子(著者)

• 販売会社／発売会社: 角川書店
• 発売年月日: 1997/02/21
• JAN: 9784041372043

商品レビュー

2010/05/28

長岡京遷都、蝦夷出兵…

[文庫ＯＦＦ]

長岡京遷都、蝦夷出兵を精力的に推し進める桓武天皇の治世。立身を望み、皇太子安殿(あて)に献身的に仕える兄真夏とは違い、クールな冬嗣は第三者的な立場で政局を見つめていた。

2023/05/12

上下巻の上巻。桓武時代の複雑にもつれ合い絡み合う勢力争い人間関係を、藤原冬嗣目線で永井路子さんが描いた小説。
桓武の時代、冬嗣の北家は房前時代の力は衰え、式家がやや優勢。
皇子白壁を皇位に戻し、その先の山部を担ぎ出す為に百川達が行った策。井上、他戸を廃し山部（桓武）が皇太子の座につく。
皇位を巡って藤原氏がうごめくのは不比等の時代から変わらない。
怖いものなしだった帝王桓武、長岡京も続く大水害や不幸を怨霊の祟りに苦しめられる。
藤原氏の策によって怨霊の祟りに苦しむのは、時代が変わっても時の帝。
息子安殿との骨肉の争い。
その頃の冬嗣は、権力の渦の中に巻き込まれることなく、ただ漠然と周囲を見つめ、したたかに兄を見ていた。
兄真夏、異父弟の安世（父は桓武）と冬嗣。この後どうなっていくのか、永井路子さんがどう描くのかとても楽しみ。
王朝時代、天武系から天智系へと変わり、天皇の周囲にうごめく藤原氏の権力争いの駆け引きを永井路子さんの考察で読む小説は読みやすく面白い。
下巻も楽しみ。

2022/02/18

永井路子の歴史小説は読みやすい。これも、桓武天皇の時代（主人公は藤原冬嗣）というあまりなじみのない時代だけど、すっと頭に入ってくる。
藤原氏と言ってもこの頃はまだ北家が際立っていたわけではなく、若き真夏・冬嗣兄弟も父の官位に従って微官からのスタート。この後どうなるか、下巻が楽しみ。