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拒絶された原爆展 歴史のなかの「エノラ・ゲイ」
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | みすず書房 |
発売年月日 | 1997/07/31 |
JAN | 9784622041061 |
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拒絶された原爆展
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1995年に開催されるはずだったスミソニアン博物館のいわゆる「原爆展」とそれをめぐるアメリカの激しい国内動向をご記憶の方もおられるかと思います。 本書はその当時の博物館館長の視点から見た「当時、何があったのか?」と言うテーマで書かれた本です。 出版されてからかなりの年月がたってい...
1995年に開催されるはずだったスミソニアン博物館のいわゆる「原爆展」とそれをめぐるアメリカの激しい国内動向をご記憶の方もおられるかと思います。 本書はその当時の博物館館長の視点から見た「当時、何があったのか?」と言うテーマで書かれた本です。 出版されてからかなりの年月がたっていますので既にお読みになられた方も多いかとも思いますが、私は今まで読んでいなかったので今更ではありますが読んでみました。 話は著者がスミソニアン博物館館長職につく少し前から始まり、著者が就任後「戦略爆撃」と言うテーマで最終的に「原爆展」つながる一連の展示を開始したこと。 そして、第2次世界大戦終結50周年と言う節目の年に「原爆展」を開催を目指した所、退役軍人団体や空軍協会、そして彼らと協調する政治家達の激しい介入により、最終的にこの展示が頓挫してしまった経緯が解説されています。 またそれだけでなく、展示中止後に設定されていた批判に対する反論の場も、スミソニアン協会長官自身の手によって奪われて行った過程も詳説されていました。 本書によれば、著者が目指したものは「枢軸国の無差別爆撃に始まった戦略爆撃が徐々にエスカレートし、広島・長崎に対する核攻撃で終結した。そしてそれは冷戦と核の脅威の時代の始まりでもあった」と言う史実を伝える展示だったとの事。 しかし、これは退役軍人や空軍協会の「核兵器攻撃は避けられなかった。これにより膨大な数の米兵の命のみならず、日本人自身の命も助かった」と言う神話を脅かすものと見なされ、 配布しないという約束で空軍協会へ提供された展示原稿第1稿(まだまだ大幅な修正が必要な状態)が約束を破られ配布されたことに始まり、スミソニアン協会関係者の言葉尻をとらえた攻撃、空軍協会などに同調したメディアによる基本的な事実関係の無視もしくは軽視、スミソニアンの予算の75%を握る政治家たちからの圧力等と言った様々な逆風にさらされました。 またこの様なアメリカ国内の動向を受けた日本側との交渉の難しさや、スミソニアンが圧力に屈服したと批判するアメリカの歴史家たちや平和運動家たちへの「スミソニアンが圧力に屈服したと言うが、激しい圧力が加えられた時に抗議の声をあげなかったのはあたながたではないか」との怒りも記されていました。 著者いわく、 退役軍人団体と協議することにより展示内容はより完成度が高くバランスが取れたものとなっていったが、批判勢力は展示原稿の改訂版ではなく、第1稿に基づく批判を繰り返した。 実際、「原爆展」の中止が決まった後、退役軍人団体の幹部でもその出来映えを評価した との事。 しかし、私個人はこの幹部による評価については、 圧力が激しくなるにつれ著者を蚊帳の外に追いやり、やがては著者に辞任を迫ったスミソニアン協会長官が「原爆展」中止を発表するときに使った論理「50周年と言う節目の時には、歴史は分析ではなく記念すべきものだった」や、上記幹部に対する「なぜ改訂版は良いと公言しなかったのか?それがあれば展示中止にはなかなかったのでは?」との質問への返答「それを口にすれば展示内容がここまでよくなった保証はない」を考慮すれば、この評価は、”評価されない”反対運動を起こした自分達に対して将来起こるかもしれない批判への事前の備えではないのか?と、思わず勘ぐってしまいました。 昨今、大統領選をめぐるアメリカ国内の激しい対立やティーパーティー運動等、アメリカ社会の分断が注目されていますが、その兆候は既に1995年には日の目を見ていたのではないか? その様に思いながら読了。
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