春山茂雄のダイエット革命

春山茂雄(著者)

• 販売会社／発売会社: ザネット/扶桑社
• 発売年月日: 1997/07/30
• JAN: 9784594023119

商品レビュー

2018/08/08

ダイエットというのは、体重や体脂肪をただ単に減らすことではなく、身体的、情感的、精神的、そして、社会的に健康な自分を形作る、最も合理的な手段です。合理的というのは、自分主体で実現可能ということです。

しかし、このダイエット、一筋縄ではいかないものです。体重ならば、減っては、増え、減っては、増えの繰り返しだということは、ダイエット体験者ならば、みな知っています。また、ダイエットの究極的な事実は、体重の増減は、必ず±ゼロとなることです。短期でみれば、増減はありますが、長期で見る、つまり人間が毎日、死に向っている事実を見ても、体重の変化は、最終的には±ゼロへと収斂していきます。これは、残酷なようですが、知らなければ、いけない真実でもあります。結局は、＋ゼロになるのに、なぜ、多くの人は、ダイエットをするのでしょうか？

ある調査では、ダイエットの成功率は、たったの３％です。体重を減らしても、それを維持するのは、至難の技です。
なぜ多くの人がダイエットをするのか？それは、そのわかりやすさにあるでしょう。体重が減り、体形が、どんどんシェイプになる喜びや達成感は、不透明な現代社会に生きる人びとにとっては、非常に価値あるモノです。また、自分の理想な体重、体脂肪、体形に近づくにつれて、精神的な満足も得ることができます。○○すれば、○○になる、つまりダイエットすれば、キレイになるという、このわかりやすい論理が、多くの、痩せてキレイになりたい人の頭の中にあります。ダイエットを行えば、きっと、至福が得られると思っています。

著者の方法は、潜在意識うんぬんと、まぁ、多くの人は、眉唾に感じられる内容ですが、大ベストセラーとなった『脳内革命』時に、現代における健康の実現は、「運動」と「瞑想」と「食事」にあると喝破したその先見性からみても、あながち、嘘だろうと断定することは、できないと思います。現に、今、巷では運動やマインドフルネスという瞑想の価値は、広く認識されるようになっています。

著者が以前経営していた病院ではリバウンドの防止をストレッチと瞑想にしたのは、ダイエットというのは、本来、我慢して耐えて行うべきものではないからでしょう。人間の強い欲求である食欲に抗うのは、並大抵のことではありません。400万年に及ぶ私たちの進化の歴史の中で、食欲が旺盛がために飢餓を感じ、体に脂肪と蓄えることで、私たちは生き残ってきたという事実があります。ダイエットを脂肪を減らすことだと考えれば、この行為は、人間の本能から完全にかけ離れています。

ただ、人間というのは、動物でおそらく唯一、抽象的な思考が可能です。その能力をフルに活用したからこそ、良い意味でも、悪い意味でも、繁栄をしているわけです。著者がいう、潜在意識への働きかけや瞑想により脳波をα波主体にして、カラダに癒しを感じさせる方法も、ある見方では、ダイエットを実行する上では、非常に人間らしいやり方です。

食事のコントロール（カロリーコントロールや栄養素の配分、また自身が不足している栄養素などの摂取）や、運動主体でのダイエット、また遺伝的特質だと判断している方で、ダイエットに関して行き詰まりを感じた人には、是非、参考にしてもらいたい内容だと思います。

突飛な意見ですが、なぜ、注目される立場の人間は、だんだんとカラダがシェイプになるのか、それは、自己肯定感の現れだと思います。それは、食事を減らしたとか、その内容を変えたとか、栄養あるものに変えたとか、毎日、定期的に運動・トレーニングをした結果からくるものではありません。自分を形作っている思考や考え方を大きく変え（注目されたことにより）、脳が器質的変化を起こしたか、著者が言う脳内麻薬が出て、その人自身が、変わったからだと思います。なに一つ医学的エビデンスには、欠けますが、個人的には、割かし納得できるものです。