病院通いをやめれば病気はよくなる 一回で治らなかったら、私は恥と紹介状をかきます ゴマ健康ブックス

今井龍弥(著者)

• 販売会社／発売会社: ごま書房/
• 発売年月日: 1996/06/30
• JAN: 9784341081201

商品レビュー

2023/09/06

医療行為は無償ではなく、医者は経営者なのだということを再認識した。儲けるためには患者が継続的に訪れることが好ましい。何度も通わせていかに点数を稼ぐか、そして病院の近くへ薬局を併設し、セットで稼ぐことはもはや常識…ただしこの著者を除いては。

自称貧乏医者の著者は、上記で述べたような収入を増やす行為をしていない。患者を一回の診察で治してしまうため、院内は常に閑古鳥が鳴いている。その空き時間を有効活用して勉強ばかりしているそうだ。少し考えてみてほしい。あなたの選んだ医師は、あなたを治療するために何度足を運ばせようとするだろうか。自分でもよく分かっていない薬を、言われるがままに服用し続けていないだろうか。もし仮にその医師がお金を稼げるように工夫を凝らしていたとして、それによりあなたの体に悪影響は出ていないだろうか。もちろんすべての医師が悪ということではないが、盲信するのではなく患者として知っておいたほうがいいこともある。

無理に体をいじくり回さなくても、お金をかけないほど体は健康になると信じる著者。この本でさえ実費で小さな出版社から出している。数多くの主婦の手荒れやアトピー肌を治したという尿素クリームの作り方や、子どもの発熱時の三種の神器（桃の缶詰、アイス、首にかける濡れタオル）、古いシャツで作る水虫対策などなど、インターネットの普及していない当時では画期的な方法だったのではないだろうか。特にニキビの面ぽう圧出器の代わりにボールペンの芯を使うのには驚いた。著者の紹介する方法は低コストかつ合理的で、現代でも通用する内容ばかりである。

医療界の金儲けの仕組みを暴きつつ、健康に固執しすぎずいかにお金をかけずに楽しく暮らすかに焦点をおいている著者。こんな医者もいるんだなと、読んでいて大変勉強になった。