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医者のみた福沢諭吉 先生、ミイラとなって昭和に出現 中公新書
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 中央公論社/ |
発売年月日 | 1996/10/25 |
JAN | 9784121013309 |
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医者のみた福沢諭吉
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慶應義塾医学部を定年となった筆者がH5年に行った記念講演を膨らませた書籍。 墓所移動のために75年ぶりに掘り起こされた福澤が、地下水のせいで屍蝋(ミイラ)化していた話から始まり、福澤が西洋見聞の際に医学をどのように捉えていたかという話までは福翁自伝の医者視点からの解説といった体...
慶應義塾医学部を定年となった筆者がH5年に行った記念講演を膨らませた書籍。 墓所移動のために75年ぶりに掘り起こされた福澤が、地下水のせいで屍蝋(ミイラ)化していた話から始まり、福澤が西洋見聞の際に医学をどのように捉えていたかという話までは福翁自伝の医者視点からの解説といった体裁。 しかし、北里柴三郎をサポートして伝染病研究所(現在の東大医科研)をつくる話、北里が医療官僚トップの森鴎外こと森林太郎のサボタージュで辛苦をなめる話、北里が北里研究所を設立する話、のあたりから、官僚vs民間、東大医学部vs慶應医学部の確執といった顛末記となってくる。 明治に入り、国民病であった脚気予防の取り組みにおいて、麦食を取り入れたことで海軍が脚気を克服するのに対して、森林太郎が医療責任者を務めた陸軍が日清戦争・日露戦争と米食を継続したために戦死者以上脚気による死亡者が出る話は、福澤諭吉の時代とは関係ないが多くのページが割かれている。 なかなか面白い本だった。売らずに本棚に残しておく可能性が高い。
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研究室の引越を機会に、家の本を整理していたら、けっこう面白い本が出てきた。買ったままで読まなかった積読本だ。この本もその一つ。土屋さんは慶応大学出身のお医者さんで、タイトルから見て、お医者さんが諭吉の体を分析したものかと思っていたが、実際は『福沢諭吉と医学』とでもつけるべきもので...
研究室の引越を機会に、家の本を整理していたら、けっこう面白い本が出てきた。買ったままで読まなかった積読本だ。この本もその一つ。土屋さんは慶応大学出身のお医者さんで、タイトルから見て、お医者さんが諭吉の体を分析したものかと思っていたが、実際は『福沢諭吉と医学』とでもつけるべきものであった。もっとも、諭吉が若い頃に外遊したことにより、西洋人の肉食と牛乳に興味を覚え、晩年になるまでけっこうハイカラな食生活を送っていたことを書いている。晩年は蕎麦を中心に牛乳を飲んでいたらしい。諭吉は脳卒中を二度起こし、二度目に帰らない人になるが、これは大酒飲みがたたったようだ。 本書ではそれより、諭吉がいかにして、官学に対し、私学の立場から医学を擁護したかを怒りを込めて訴えている。その一つは森鷗外と北里柴三郎の関係で、脚気論争は陸軍と海軍との争いでもあったのだが、それは鷗外たち官学(東大)と北里たち私学との戦いでもあった。圧倒的な不利な態勢において、諭吉が金銭的にも、精神的にもいかに援助をしたかを本書は口酸っぱく訴える。本書では鷗外は悪人である。もっとも「一方聞いて沙汰するな」で、東大側の主張も聞いてみないとわからないが。 サブタイトルの、諭吉がミイラになって昭和に出現というのは、1977年に福沢家の墓を移転する際に、墓を掘り返してみたら、諭吉がミイラ状態で見つかったというニュースである。医者の立場からは解剖したかったようだが、福沢家の人たちは荼毘に付したという。判断の迷うところである。
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ドラマ「坂の上の雲」によると、秋山好古は日本で一番偉い人の名前に福沢諭吉をあげたとか。真偽はさておき、この著書どおりだとすると、確かに「偉い人」という言葉がぴったりあてはまる。日本の近代医学の礎を築いた実績を読めば充分納得できるだろう。わたしが敬愛する大村智先生の恩師である北里柴...
ドラマ「坂の上の雲」によると、秋山好古は日本で一番偉い人の名前に福沢諭吉をあげたとか。真偽はさておき、この著書どおりだとすると、確かに「偉い人」という言葉がぴったりあてはまる。日本の近代医学の礎を築いた実績を読めば充分納得できるだろう。わたしが敬愛する大村智先生の恩師である北里柴三郎先生を支えたエピソードには、つい目頭が熱くなった。それにしても許せないのは森鴎外。日清・日露戦争で多くの兵士が脚気で亡くなった話は聞いたことがあるが、その黒幕が森鴎外だったとは。歴史の残酷な一面とも向き合いながら読むことになろうとは。。
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