仏教の思想(9) 生命の海「空海」 角川文庫ソフィア

宮坂宥勝(著者), 梅原猛(著者)

• 販売会社／発売会社: 角川書店
• 発売年月日: 1996/06/20
• JAN: 9784041985090

商品レビュー

2025/01/09

密教の根本的なメッセージ≒生命と欲望の肯定→悟りを得る

即身成仏: 密教の教えの核心であり、肉体そのものが仏の顕現であると捉える​

生と肉体の肯定: 密教は従来の仏教の禁欲的な側面から、肉体性を積極的に肯定する​

顕教と密教の違い: 顕教は悟性で理解できる教えであるが、密教は象徴的で直感的な教えである​

大日如来の象徴性: 大日如来の姿が物質的な美を通じて神聖さを表現している​

三業の働き: 身・口・意の三つの行為が仏教的実践の基本である​

肉体性と官能性の肯定: 大日如来の装飾や密教の教義は、肉体性と官能性の肯定を示す​

欲望の浄化: 密教では欲望そのものを否定するのではなく、浄化し高次の悟りへと昇華させる​

象徴的表現の重要性: 密教の教えはシンボルや象徴を多用して真理を表現する​

自然との一体化: 自然と自己を一体として捉える思想​

禁欲と快楽の調和: 禁欲と快楽の間に存在する宗教的矛盾を解消しようとする密教の立場​

三界の教え: 三界（欲界・色界・無色界）の存在とその超越​

金剛界と胎蔵界の和合: 男性原理と女性原理、知恵と慈悲の統合としての二界​

十住心の教え: 精神的成長の段階を示す十住心思想の解説​

菩提心の重要性: 菩提心を捨てることは生命の否定であるとする教え​

五戒と十善戒: 基本的な倫理規範としての五戒（不殺生、不偸盗、不邪淫、不妄語、不飲酒）​

曼荼羅の象徴性: 宇宙の調和と存在の本質を表現する曼荼羅​

真言の力: 密教の中で言葉の力（真言）が重要視される​

密教の即効性: 実践を通じた即効的な悟りの体験​

密教の生命観: 生命そのものを神聖視し、否定ではなく肯定的に捉える​

生と死の一体性: 生と死を分けることなく、生命の連続性を説く

2023/04/27

本書は大きく3部構成からなっています。1部は宮坂氏による空海および真言密教の解説。2部は宮坂氏と梅原氏の対談。そして第3部が梅原氏の論考です。対談が読みやすいというのもありますが、全体を通して、難しすぎず易しすぎずというレベルに書かれていて非常に好感が持てました。確かにいきなり本書から密教の勉強をはじめようとすると厳しいかもしれませんが、例えば『密教』松永有慶、などを読んだ後であれば、十分読み進めます。レベルが低すぎることもなく、かなり難しい用語も適宜解説を加えながら述べられています。梅原氏の論考がある分、他の密教関係の本よりも独特な解釈があったり、西洋哲学との比較があったりと、興味深く読みました。タイトルに「生命の海」とあるように、真言密教を生命礼賛の教義として解説されています。

2020/05/13

密教は好きではない。
しかし仏教系の文学なり美術なりを鑑賞するための予備知識としては必要なので読んでいる。密教の思想はいらなくて、密教文化史のような物が欲しい。
あと、相変わらず梅原猛はいらん。