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取り扱い注意 KADOKAWA新文芸書き下ろし
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 角川書店/ |
発売年月日 | 1996/12/25 |
JAN | 9784048730136 |
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「あなたのお母さんて、いったいお幾つ?」 「二人いるんだ、足すとおよそ百になる」 「ところで、きみの名前を教えてくれないかな」 「洗礼名はテレジア ー 堅信名なアンナ、戸籍名はあとで、これをはずしてから教えてあげる」 「女と寝るのはこんなふうに簡単なことなんだ。女のあそこを大...
「あなたのお母さんて、いったいお幾つ?」 「二人いるんだ、足すとおよそ百になる」 「ところで、きみの名前を教えてくれないかな」 「洗礼名はテレジア ー 堅信名なアンナ、戸籍名はあとで、これをはずしてから教えてあげる」 「女と寝るのはこんなふうに簡単なことなんだ。女のあそこを大げさに考えるのがトラブルのもとなんだ。」 『叔父の女に関する話題はXではじまる単語のように数が限られていた。』 「叔父さんの現れるタイミングはいつも悪くないです。今度も絶好といっていいですよ、むかし神宮球場の新人戦で、いちどだけピンチランナーに出て盗塁したことがあるんですけど、そのときのスタートのタイミングに匹敵しますね、ただ相手のキャッチャーの肩も送球も信じられないくらいに良くて、その盗塁はアウトでしたけど」 「うん、て言えばいいのよ ー こういうときには取り敢えず、うん、て言えばいいの。一日でも先の約束には不可能でもYES、それでその場は済むの、覚えとかなきゃだめよ、そんなんじゃこれから集まってくる女を捌ききれないわよ」 「英雄、何かに追いかけられる夢を見たことがあるだろ、自分が何か、とんでもない罪を犯して逃げ回ってる、そんな夢を見たことがあるだろ、冷や汗かいて、目が覚めて、ああよかった、こっちが現実だったってほっとした覚えがあるだろ、そのほっとした現実が、夜が明けてみると退屈でうんざりだと思ったことはないか、また例の一日が始まる、ゆうべ見た夢のほうがよっぽどはりがあって生きてる気がした、そう思ったことは一ぺんもないか」 「いいか、よく聞け、もし万が一、追われる身になったとしても、それは現実と夢が入れ替わるだけの話だ、あのはりのある夢の中で生きてみてもいい、できることなら夢と現実の人生を総取っ替えしてみてもいい、おれは実は前々からそう思ってたんだ」 「おまえの頭の中はどこまで標準仕様にできてるんだ、まったく、おまえがあの姉きの血を分けた息子だとは信じられないぜ、小学生がだめなら何ならいいんだ、中学生まで待てばいいのか、そんなふうに強盗のマニュアルに書いてあるのか? 何を言ってももう手遅れだ、さっさと準備しろ」 『かもしれないが三つ。「吉と出るか凶と出るか」。躊躇したのはほんの一瞬だった。僕は最終的に自分の、というよりもその夜われわれの側に味方しているはずの幸運に賭けた。 それが失敗だった。』 「酔って正体をなくす以前のことはどのくらい憶えてる?」 「ほとんど忘れちゃった ー あっちのお母さんに変なことを言ったりしなかったかしら」 「たいしたことは言ってないと思うよ」 「嫌われてない?」 「だいじょうぶ」 「そう ー じゃあ披露宴にも出席して頂けるわね」
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この小説に出てくるのはみなどこかが欠落している人間たちである。 その偏った人間たちがおたがい肩や足をぶつけながら不器用に前進(?)しようとしていく。 この小説の結末は確かに、ハッピーエンドだろう
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