異形の愛

キャサリンダン(著者), 柳下毅一郎(訳者)

• 販売会社／発売会社: ペヨルト工房
• 発売年月日: 1996/07/07
• JAN: 9784893422279

商品レビュー

2017/05/24

疲れた。愛を語ってここまでグロテスクなのは…でもオリーの心は美しい。フリークスも健常者も愛は異形になることもあり。女性が男の欲望の犠牲にならず、才能を発揮できるようになるため手術を勧めるミス・リックって…。

2011/10/25

中途半端な奇形で、普通の人間にも、完全なフリークスにもなれない半端な存在の主人公。そんな主人公が抱く、完全な奇形であるお兄ちゃんに対するコンプレックスと歪んだ愛情。もうどっっっぷり感情移入して読みました。大好きな小説です。

ティム・バートン　Ｘ　ジョニー・デップのタッグで映画化とかいう話もあったけど、どうなったんでしょうかね。

2010/03/31

フリークス版「百年の孤独」とも言われ、カルト的人気の高い小説。

様々なフリークスを見世物にしている家族経営の一座、
＜ビネウスキの奇天烈カーニバル＞の栄光と破滅、愛と憎しみの物語。

団長アルは、一座の花形をつくるべく、
妊娠中の妻リリーにあらゆる薬物を投与し、
奇形であるフリークスの子どもたちを産ませていく。
離れの小屋の中には、「できそこない」の胎児たち、家族になれなかった
ものたちの小さな体のホルマリン漬けがひっそりとおさめられている。
誇り高き長男アーティは、
手足が小さく変形してヒレのように見えるあざらし少年。
エリーとイフィーは胴から下が一つにつながるシャム双子。
次に産まれた「わたし」オリーは、「残念ながら」瘤のあるせむしで、
小人で白子なだけの平凡なフリーク。
この一族では、普通と違っているこそ、愛や称賛に値する価値があるのだ。
そして最後に産まれた純真なチックは見かけこそ平凡だが、
誰もが仰天するような能力を持っていた・・。

自分が誰よりも愛されないと気が済まず、皆を支配する独裁者と化して
いくアーティと、彼のエゴに利用され続けるチック、
残酷な彼を異性として陰ながら愛し続けるオリー。
売春を始めてしまうエリーに、彼女と下半身を共有するイフィーは
必死で抵抗するがなすすべもない。
彼らの特異な生きざまは、段階に応じて自らの体を切り落としていく
自己破壊的カルト集団を生み出してしまう。

一般の書店ではもはや手に入らないため、むかし通販の古本で購入し 一気によみました。胸えぐられる切なさです。