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うたかたの 文春文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 1996/07/10 |
JAN | 9784167200350 |
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うたかたの
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商品レビュー
3.5
2件のお客様レビュー
短編集なのだけど、全てお話は繋がっています。 1人の男の話としても読めるし、別々の話として読むことも可能。 なんだか不思議な読み心地のする本でした。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
永井さんというと戦国物、王朝物のイメージが強かったのですが、これは 強いていうなら「市井物」。珍しいと思います。 インスパイアされた実在の人物はいたようですが、あくまでも架空のお話。 主人公は....名前を転々と変えるのでだれだれと言えません。 一人の、野心溢れる儒学者。若いときに千載一遇のチャンスを得て、藩政 どころか幕政にまで乗り込もうとしたものの挫折、妻子を失い、ひたすら 「暇つぶし」をすることに達観していく姿を、本人の内なる声は一切書かずに、関わる女たちに語らせるという手法です。 関わる女たちも皆一筋縄でいかないというか、芯の強い、頭のいい女性たちで、彼を理解し、見守りながらも自分の道を選びます。 誰一人、彼と心中しようとはしません。 最初は自信に満ち溢れ、はっきりいって傲慢だった「男」は数多の挫折と こうした女性たちを含む人々との関わり合いのなかではっきり変化していきます。 そして辿りついたところが「人の世は、死ぬまでの暇つぶし」という考え。 「その成否だけで計ってはいかんのよ。そういうことから心をほどくんだな。 すると、なにかが見えてくる」 「それからさ、死ぬまでの命をみきわめ、ゆっくり暇つぶしをする、と肚を決めたのは」 ただ一人の妻だった女性は心のうちで断言します、「だって、あなたは不運な方ですもの」。不運な男は関わる女性を積極的に幸せにしようとはしません。それを見極めて、女性達は皆、自分から離れていきます。 しかし、その後の人生に「彼」との関わりは影響を与え、結果として(妻を除いて)幸せにしている。永井路子さんらしい、単純なフェミニズムでもなければヒーロー像でもない、深い人間関係のあり方の描き方だと思いました。 「覚悟を据えて暇つぶし」...正直言って実感はまだ湧かない言葉です。 でもずっとアタマの隅に残る言葉になりそうです。
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