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聖なる夜
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聖なる夜

ターハルベン・ジェルーン(著者), 菊地有子(訳者)

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聖なる夜

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 紀伊國屋書店/
発売年月日 1996/08/02
JAN 9784314007504

聖なる夜

¥550

商品レビュー

4.3

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2019/11/16

「砂の子ども」の姉妹編 https://booklog.jp/item/1/4314007303 女ばかり七人続いて生まれた家に、八人目の子供が生まれる。 イスラム社会では女に相続権はない。父親は娘たちをまったく構わなかった。  だがわしは娘たちを殺すことはしなかったではない...

「砂の子ども」の姉妹編 https://booklog.jp/item/1/4314007303 女ばかり七人続いて生まれた家に、八人目の子供が生まれる。 イスラム社会では女に相続権はない。父親は娘たちをまったく構わなかった。  だがわしは娘たちを殺すことはしなかったではないか。以前は娘が生まれたら生き埋めにしていたのだ。しかし今度こそ、次に生まれる子供は男でなければならない。 父親は、自分の財産を狙う弟たちからの憎悪に、世間からの男の父親になることのできない男という蔑みの目に耐えられなかった。 だから生まれてきた八人目の娘は男と公表して、男の名前のアフマドを付け、男として育てた。 成長するアフマドは、女ではできないこと、学び、家を差配し、父親から独立するために結婚する。  わたしは自分の意思で男を続けるのだ、そして女ではできないことをすることができた。 アフマドが妻としたのは自分の従兄弟、自分が生きている限り何も相続できない叔父の娘のファーティマだった。 癲癇持ちで一族の厄介者だったファーティマは、どうして知ったのだろうか。自分の夫アフマドの身体が女だということを。 ファーティマは死に、やがて父も死に、アフマドは部屋に閉じこもる。縦皺の刻まれたやつれた顔、しゃがれた低い声、そして心に深い傷。その心は一冊のノートに閉じ込めていた。 …というのが、前作「砂の子ども」の話。 「砂の子ども」では、アフマドが去った後に、講釈師を始めとする人たちがアフマドの人生を語る、という流れ。語り手により「自分はこうだと思う」「自分はアフマドに出会った」などとそれぞれの想像力を組み込み物語が広がってゆきます。 そしてこの「聖なる夜」では、アフマド自身が自分の人生を語ります。 「私は今では年老いて穏やかに暮らしている。話をしよう、言葉と時間をここに置こう。少々荷が重いのだ。重くのしかかっているのは、歳月ではない。放さなかったこと、口を閉ざして隠してきたことだ。あなた方のところに来るまで長い時間がかかった。狂気のようだ、何一つ変わっていない。空も、人も!やっとここに辿り着けて、うれしい。あなた方は解放者であり瞳に宿る光だ。私の貌にある皺は、真実の試練が遺した痕跡だ。私の手の甲にある皺は、運命が刻んだ線だ。私の人生の物語がここに描かれている。」 (P1より抜粋) 物語は、アフマドが故郷に戻ったところから始まります。「私のことを語れなくなってしまった講釈師」と出会うなど、人々の物語が交差します。 父が死の床でアフマドを呼び、女に戻るようにと言います。 娘を息子と偽って維持したこの家では、姉たちは財産を喰いちらし、母親は気が触れています。 アフマドは父の葬式の後に密かに家を出ます。最初に訪れたのは秘密の村で、寓話的であり人生を示唆するような体験をします。 次に彼女が留まったのは、公衆浴場の湯番をする女性アシーズと、その女性が献身的独占的に世話をする盲目の弟コンスュルの家です。 一人の男を巡っての女二人の生活は、しばらくは均衡を保ちますが、しかし彼女が昔男性として財産を相続したことにより損した人たちからの恨み憎みも受けて…。 語り手は「私」であり、だれも彼女を名前で呼びません。 女としての名前も、家も持ちません。 成人を過ぎる歳まで男性として生きてきた彼女は、それを「自分の意思でそれを続けた」としています。 そのため女性に戻ることもどこに行くかも自分の意思を持っています。 性的な描写も全体的にあります。男性だったころから自分の女の身体に目覚める性を意識していましたが、女性に戻りその性を精神的に、肉体的に開放します。 彼女がたどる人生は、語り口により幻想的伝承的印象を持ちますが、現実として考えるとイスラム社会において過酷過ぎるほどの女性の生き方が見えます。あまりにも低い女性の地位、酷い憎しみや、酷い暴力描写が(夢のような語り口で)語られます。 イスラム圏の物語はあまり読んできませんでしたが、語り手が話を語り継いでゆき、現実を幻惑的に見せる手法になっているかと思いました。

Posted by ブクログ

2015/07/02

ゴンクール賞受賞で購入?コレだけでは正直意味不明。前作「砂の子ども」のあとに読むのを薦める。ただしかなり抽象的なイスラムの観念とフランス文学の時間の枠に捉われない表現があるので、相当読むのには根気が要ります。

Posted by ブクログ

2012/07/03

アラビア語の学校で、現役慶応大学生から、おすすめのモロッコ人作家として勧められた。「女が男として生きて行く」という内容がなぜ成り立つのかは、イスラムを知らないと理解不能かもしれない。でも、それが分からなくても、作品全体を覆う怪し気で冷徹でいて、生命力のある作風がたまらない。生涯使...

アラビア語の学校で、現役慶応大学生から、おすすめのモロッコ人作家として勧められた。「女が男として生きて行く」という内容がなぜ成り立つのかは、イスラムを知らないと理解不能かもしれない。でも、それが分からなくても、作品全体を覆う怪し気で冷徹でいて、生命力のある作風がたまらない。生涯使用人として生き、主人に解雇されて後、道端で行き倒れて死を迎えた老人の周りで子供達が遊んでいる・・・というような背景描写が、絵になって頭にこびりついている。

Posted by ブクログ

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