渡辺崋山の逆贋作考

月山照基(著者)

• 販売会社／発売会社: 河出書房新社/
• 発売年月日: 1996/01/31
• JAN: 9784309262710

商品レビュー

2019/12/02

これも確か、どこかの書評集から。手に取ってパラパラめくりながら、とりあえず思ったのは、”学術書みたいでハードル高いな…”ってこと。装幀もそんな感じだし。美術ミステリみたいな小説を予想していたから、読むの止めようかとも思った。気が変わったのは、せっかくだからと目を通した前書きとあとがきに惹かれたから。”あ、逆贋作考って、崋山がむしろ贋作ってことなの？”っていう意外性もあり、結局はしっかり読んでみることにした次第。で、結論としてはそれが正解で、かなり上質な歴史ノンフだった。筆者の持論を全て鵜呑みにする訳にはいかないけど、かなりの説得力を持っているのも確か。でも、まさか国宝級の美術品が、実は本人の手によるものじゃないなんて、ちょっと疑えないですわな。そういう目で見たせいもあるけど、実際に本書内で比較されていた作品なんて、どれもが本家の方が劣っていると思えたもの。感性って侮れないし、実際にそれが正解なのかもって考えると、ちょっとワクワクする。