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裏切りの血統
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裏切りの血統

アンソニー・ケイヴブラウン(著者), 栗山洋児(訳者)

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裏切りの血統

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 原書房/
発売年月日 1996/11/24
JAN 9784562028665

裏切りの血統

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商品レビュー

3.5

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2020/12/02

二重スパイというのをご存知か? A国のスパイとして活動しているように見せかけて、実は敵対しているB国のスパイであり、A国のスパイとして手に入れた情報をB国に流してB国を有利にしたり、A国のスパイ組織を瓦解させたりする。この二重スパイは“モール(もぐら)”と呼ばれる事もある。 多く...

二重スパイというのをご存知か? A国のスパイとして活動しているように見せかけて、実は敵対しているB国のスパイであり、A国のスパイとして手に入れた情報をB国に流してB国を有利にしたり、A国のスパイ組織を瓦解させたりする。この二重スパイは“モール(もぐら)”と呼ばれる事もある。 多くのスパイ小説では冷徹な裏切り者として描きかれ、大抵はその二重スパイとしての正体がバレて、いい死に方はさせてもらえない。 実はこの多くの小説に描かれる大物二重スパイにはモデルとなる実在のスパイがいる。 キム・フィルビーだ。彼は英国人として生まれたが学生時代に共産主義に傾倒し、第二次大戦では反ファシズムと共産主義国家ソ連のために、英国のマスコミや情報部に籍をおきながら、ナチスドイツ打倒とソ連の利益のために活動した。 その英国における見せかけの活動のおかげで彼はどんどん情報部における地位を上げていき、第二次大戦末期に東西冷戦構造が明確になってくると、アメリカCIAにあってソ連との防諜戦の先頭にだったジェームズ・J・アングルトンに協力するふりしながら、CIAの防諜戦を混乱に陥れたなど大きな功績を挙げた。 そして、何よりもキム・フィルビーが名を残した理由は、その正体が明らかになり、西側の機関に拘束される寸前に脱出しソ連に亡命出来たことにある。 これによって、寒い国に逃げ切った二重スパイとしての「名声」を確立したのだ。 この本では同じく英国人でありながら英国の利益ではなくアラブ人の利益を優先して故国を裏切ったキムの父親セント・ジョンの生涯も取り上げ、親子二代にわたっての、祖国を欺く、裏切りの血筋について綿密な記録を紹介している。

Posted by ブクログ

2017/08/21

1950年代。当事国のイギリスのみならず、西側諸国に大きな 衝撃をもたらした「ケンブリッジ・ファイブ」。イギリスの国家中枢 の機関でソ連のスパイとして働いた5人の男。 そのなかのひとりで、もっとも有名になったのがキム・フィルビィ である。スパイ小説のみならず、スパイを扱...

1950年代。当事国のイギリスのみならず、西側諸国に大きな 衝撃をもたらした「ケンブリッジ・ファイブ」。イギリスの国家中枢 の機関でソ連のスパイとして働いた5人の男。 そのなかのひとりで、もっとも有名になったのがキム・フィルビィ である。スパイ小説のみならず、スパイを扱ったノンフィクション 好きとしては知っていて当たり前の名前だし、とても興味深い 人物だ。 彼については多少の知識はあったが、その父であるセント・ジョン・ フィルビィもまた、国家公務員でありながら祖国の為よりもアラブの 独立を守る為に働いたとは知らなかった。 本書はフィルビィ親子、2代に渡る裏切りの物語を綿密に追っている。 否、イギリスから見れば裏切りなのかもしれないけれど、親子ふたり は祖国への忠誠よりも自身の信念に重きを置いただけなのかも しれない。 父セント・ジョンの時代、アラブはヨーロッパ列強にいいように操られ ていた。有名なイギリスの三枚舌外交だ。ユダヤ人にはイスラエル 建国を約束し、アラブにはパレスチナの存続を約束し、フランスと は「中東の利益をお互いに吸い上げちゃおう」と約束する。 上手に立ち回れば中東の石油利権は大英帝国のものになるはず だった。それを阻止したのがセント・ジョン・フィルビィだった。 イギリスが手にするはずだった石油利権は、あろうことかアメリカの 手に渡ってしまった。 そして、息子キムはケンブリッジ大学在学中にソ連のスパイ機関に スカウトされ、二重スパイとしてMI6で部長の地位にまで登り詰める。 しかも従事したのは対ソ連諜報活動。今から思えばとってもまぬけ な話なのだが、ソ連の二重スパイがソ連を探り、イギリスの情報が 筒抜けになってたんだんだよね。 親子鷹。ある才能に秀でた親子に使われる呼称だが、フィルビィ親子 も親子鷹なのかもしれない。 イギリス国家にとっては許すことの出来ない親子だろうが、自身の 思想・信念を貫き通した意志の強さは見事なんじゃないか。 尚、息子キムは正体がばれそうになってソ連に亡命。父セント・ジョン はイスラムに改宗し、サウジアラビア独立に手を貸している。

Posted by ブクログ

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