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犬の現代史
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犬の現代史

今川勲(著者)

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 現代書館/
発売年月日 1996/07/30
JAN 9784768466865

犬の現代史

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2013/10/09

『犬の日本史』に続いて、犬。 こちらは明治期から第二次大戦後までの犬の話である。 この時代は、大まかに言えば、それまで繋がれることもなく街を闊歩していた犬たちの多くが、繋留される流れができた時代であった。その陰では、多くの犬たちが狂犬病の恐れのために撲殺され、そして戦争のため戦...

『犬の日本史』に続いて、犬。 こちらは明治期から第二次大戦後までの犬の話である。 この時代は、大まかに言えば、それまで繋がれることもなく街を闊歩していた犬たちの多くが、繋留される流れができた時代であった。その陰では、多くの犬たちが狂犬病の恐れのために撲殺され、そして戦争のため戦地に連れて行かれ、あるいは毛皮や肉を取るために殺された。人に取っても大変な時代だったが、犬にとってもまた受難の時代であった。 日本において、軍用犬は、満州事変を契機として本格的に関東軍に導入された。ただどちらかといえばイメージ先行型で、軍部には訓練に詳しい人材はほとんどいなかったようだ。初期にはシェパードの愛好家団体が母体になり、軍に犬を提供していた。後に、訓練を担う軍用犬養成所ができている。 ところが、訓練する側と戦地にいる側では、軍用犬の役割の認識に齟齬があった。犬ができるのはあくまで、伝令や歩哨等の補助的役割である。訓練側では、現場で使うためのごく「基礎的」な訓練を行う。だが犬をよく知らぬ現場には、犬は命令すれば何でもする完璧な訓練を受けている(極端な話、敵陣に飛び込んで一緒に闘うといったような)という誤解があった。実地に使用するためにはさらなる訓練が必要であるのに、その知識もなかった。 戦局が進むにつれ、養成所以外からも多くの犬が徴用され、アジアの戦地に送られたが、多くの場合、ペットとして兵士の心を慰めることはあっても、軍用犬としてはほぼ役に立たなかった。お国のためと集められた犬たちは、戦闘で生き残っても、ほとんどが遺棄され、二度と帰国することは叶わなかった。人間の引き揚げも困難を極めたことを考えれば、致し方のないことだろうが、それにしても痛ましいことだ。 戦闘に巻き込まれて死んだ犬のエピソードが、優秀な軍用犬の話として脚色され、戦意高揚のために利用されたという話が挙げられている。類する話は他にもあっただろう。時代の空気を感じさせる。 軍用犬とならなくても供出の対象となり、命を落とした犬も多い。終戦直前の1944年には「畜犬献納運動」が大々的に起きている。狂犬病の蔓延を防ぐのに加え、食糧不足から、犬猫を「無駄飯食い」と非難する見方が高まっていたことが背景にある。この運動は、飼い犬を集め、毛皮を取って兵士の防寒着にし、また肉を食用としたり肥料に使うなどして、お国のために役立てようというものであった。但し、犬が多く集められ殺されたのは確かであっても、肉や皮が適切に処理され有効に利用されたとは言えない事例も多いようだ。 戦争と並んで、犬の現代史に影を落としてきたのが狂犬病である。 狂犬病は治療法のない病気である。そして、ヒトにもまた感染する、ヒトにとっても致死性の病気である。この2点から、ひとたび狂犬病が流行すると、犬たちは多数殺された。ワクチンが開発されるまでは、発症した犬や感染の可能性がある野犬を殺すしか手立てがなかったのである。初期の処分法は2,3人掛かりで捕獲して撲殺するという、何とも荒々しいものであった。当初は警官の仕事だったが、数が増えるにつれ、請負業者に任されるようになっていった。日当はさして高額ではなく、業者らは犬の肉や皮を売って副収入としていた。こうした職に就くのは、元々、牛馬売買や馬肉問屋といった本業を持っていたものが多かったようだ。 残虐な処分法には個別に批判が寄せられることも多かったが、日本において動物愛護運動が高まっていったのは、大正期に愛護団体が設立されたことが契機だった。その主要メンバーには外国人女性が複数おり、欧米式の動物愛護精神が持ち込まれた形だった。牛馬や犬猫の虐待防止を旨とし、動物を保護し、また安楽死のための設備を整えるなど、複数の団体が活動を行った。 戦争を境にこうした団体は一度、消滅する。 戦後、また新たな団体が発足し、実験動物の待遇改善のために活動を行うなどしてきた。戦後の団体もまた、外国人メンバーが大きな原動力となった。 本文は比較的重い内容だが、末尾の、幼少時の著者と村の犬たちのエピソードはふっと力が抜けて微笑ましい。犬がまだ放し飼いだった頃の田舎の、悪ガキvsムク犬の丁々発止の一コマである。 犬たちが放し飼いの生活に戻るのはもうムリであるにしても、人と犬とが楽しく暮らせる世の中であってほしいものである。

Posted by ブクログ

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