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古代憧憬と機械信仰 コレクションの宇宙 叢書・ウニベルシタス513
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 法政大学出版局/ |
発売年月日 | 1996/02/09 |
JAN | 9784588005138 |
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古代憧憬と機械信仰
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王侯貴族たちが世界中から蒐集したコレクションを陳列した宝物室・クンストカンマー(ヴンダーカンマー)。近代以降はただの珍奇なガラクタ部屋だと思われていたそこには、自然と芸術と機械を一つの哲学体系にまとめあげようとする権力者たちの強い意思が宿っていた。クンストカンマーから見えてくる西...
王侯貴族たちが世界中から蒐集したコレクションを陳列した宝物室・クンストカンマー(ヴンダーカンマー)。近代以降はただの珍奇なガラクタ部屋だと思われていたそこには、自然と芸術と機械を一つの哲学体系にまとめあげようとする権力者たちの強い意思が宿っていた。クンストカンマーから見えてくる西洋思想史。 澁澤の『夢の宇宙誌』読んですぐこの本に出会いたかった!アナロジーで物と物を繋ぎ、世界を統べようとしたクンストカンマーの思想がコンパクトに整理されていてとてもわかりやすい。 タイトルの古代憧憬とはルネサンスに発掘された古代ギリシャやローマの遺物を指し、機械信仰は人工物の極地としての自動人形などを指す。当時、土を掘ってでてくる古代の彫刻はほとんど化石と同じ扱いを受けていたというのが面白い。一方で機械は人工世界を造り上げるための技術の結晶である。 ブレーデカンプによれば、クンストカンマーは自然物→古代物→人工物(芸術)→機械という歴史観を元に構成されており、それは神が造った自然を人間が模倣し、より洗練させていくのだという人間中心主義に基づいていた。「自然は自己実験に失敗し驚異的なものを生んだが、技術はそれが完全な形で成功するよう手を貸す」という思想である。クンストカンマーは驚異的なもの、いわゆるパラドクサに分類される生き物の標本を好んで蒐めたが、それは〈神の失敗作〉の例でもあったのだ。 さらに、驚異的なものは神の遊戯性を表す存在にもなった。そう、神は遊びながらこの世界を造ったのだ。それゆえ地上の神たろうとした為政者たちは「遊戯という至高のカテゴリーに突き進んで初めて、人間は神の完璧な似姿となる」と信じ、最高の技術者にさまざまな無用の機械を作らせた。『夢の宇宙誌』で紹介されている水オルガンだの自動人形だのである。だが、生殖によらずに人工で人間を作りだすことは、錬金術と同じく機械学にとっても究極の最終目的であった。クンストカンマーは神をまねぶ君主の欲望が生みだした小宇宙だった。 やがて啓蒙主義の18世紀がくると、アナロジーで世界を統一しようとしたクンストカンマーは非科学的な前時代の遺物と見なされ、芸術と機械学は分裂してしまった。ゲーテが「美の時代は過ぎ去り、われわれの時代は必要と緊急な必需品しか要求されない」なんてことを言っていたのはなかなか衝撃だ。キリスト教世界のクンストカンマーから神なき世界のミュージアムへと時代は移っていく。 しかしその後も実用と無縁の反世界を説くヴィンケルマンや、古代の機械に強い関心を持って形式と目的が融和する幻想建築物を描いたピラネージなど、再び芸術と機械学を統一しようとする揺り戻しがたびたび起きる。その現代的な例としてデ・キリコやエルンストなどシュルレアリストの名を挙げて本書は終わるのだが、思えば一番初めに図示されるのもパルミジャニーノの絵だし、本文中では触れられていないがホッケの『迷宮としての世界』にオマージュを捧げた本なのかもしれない。 ヴンダーカンマー関係の本は色々と読んできたけれど、そのなかでも特にすっきりとしてわかりやすい良書だった。パトリック・モリエスの『奇想の陳列部屋』でビジュアルも補完すれば頭のなかでクンストカンマーをめぐることができる。
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[ 内容 ] クンストカマーとは。 後期ルネッサンス~バロックにかけての王侯貴族の珍品収集館=クンストカマーに着目し、そのコレクションが体現するこの時代の世界観・宇宙観を読みとり、自然誌から自然史への転換をあとづける。 コレクションのミクロコスモス。 [ 目次 ] 運動の問題 ...
[ 内容 ] クンストカマーとは。 後期ルネッサンス~バロックにかけての王侯貴族の珍品収集館=クンストカマーに着目し、そのコレクションが体現するこの時代の世界観・宇宙観を読みとり、自然誌から自然史への転換をあとづける。 コレクションのミクロコスモス。 [ 目次 ] 運動の問題 歴史の連鎖 研究と未来像 遊び心のある自然誌 進歩の双生児 現代へのあとがき [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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・歴史の連鎖: 自然物―古代の彫像―人工物―機械 →外国物(エクソティカ) →小宇宙 ・魔術的オカルティズムと理性主義的啓蒙主義との折衷様式
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