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あづま橋 集英社文庫
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商品詳細
内容紹介 | 内容:蛍ぶくろ.二日の花.あづま橋.本牧ラット.にせアカシア |
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販売会社/発売会社 | 集英社 |
発売年月日 | 1996/03/19 |
JAN | 9784087484656 |
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商品レビュー
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2件のお客様レビュー
男と女の世界を描かせると天下一品ですね。解説にも「伊集院静の小説は癖になるらしい」と記載がありましたが、ホントにそう思います。「誰にも話せないことを持って生きてることは哀しいことよ。一度話してしまえば、それはもうあなたとは半分無関係な過去になるものなのよ・・・」(P95)が、印象...
男と女の世界を描かせると天下一品ですね。解説にも「伊集院静の小説は癖になるらしい」と記載がありましたが、ホントにそう思います。「誰にも話せないことを持って生きてることは哀しいことよ。一度話してしまえば、それはもうあなたとは半分無関係な過去になるものなのよ・・・」(P95)が、印象に残りました。
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伊集院 静の【あづま橋】を読んだ。 表題の【あづま橋】を含む5編の短編集。 最初の1ページで「やばい」と思った。これは「やばい」。はい、好きです。こういう作品、文体。 5編どれも良かったが、特に好きなのはやはり表題の【あづま橋】。 主人公の衣津子は17歳の時に瀬田雄次に出...
伊集院 静の【あづま橋】を読んだ。 表題の【あづま橋】を含む5編の短編集。 最初の1ページで「やばい」と思った。これは「やばい」。はい、好きです。こういう作品、文体。 5編どれも良かったが、特に好きなのはやはり表題の【あづま橋】。 主人公の衣津子は17歳の時に瀬田雄次に出会う。だが、雄次は任侠の道に生きることを決意し衣津子を 遠ざけようとする。雄次の背には真紫の鯉とそれを掴む金太郎の刺青。 「もう違う世界だ。おまえは俺のところへ来るな」 「何て言ったの?」 「もうここへは来るなって、言ったんだ」 「どうして?」 「俺はヤクザになる。そう決めたんだ」 「だから何なの」 「お前とは違うところで生きていく」 「そんなことない。私、雄さんが何をしたって、どんな生き方をしたって一緒にいる」 「世間はそんなもんじゃない」 「そんなもんなの。私には雄さんが一番なんだから」 男には男の世界があり、女には女の世界がある。それぞれの世界がそれぞれがそれぞれを想う気持ちがあ るからこその「男と女」の会話だろう。女が男を支えて添い遂げる。古い考えと言われればそれまでだが そういう世界観は嫌いではない。 それでも一向に衣津子を遠ざけようとする雄次に衣津子がとった行動とは、自らの背中に鯉の刺青を彫る ことだった。 部屋の電気を消し、ブラウスを脱ぐ衣津子。豆電球の明かりの中で雄次が見たものは左の肩先から腰にか けて白い肌の中を泳ぐ線彫りの鯉だった。 修羅の道を共に歩むことを決意した2人。世間の目など気にせずに愛する人の帰りを待つ暮らしが始ま る。衣津子にはそれがすべてだった。 だが・・・。 【あづま橋】は31歳になった衣津子の忘れられない愛する人の「思い出」と、現実と向き合わなければ ならない「今」との2つの話で構成される。 心と体に刻んだ愛する人の思い出。前に進みたくとも体に刻んだ愛は衣津子の気持ちを押しとめてしま う。勇気を持って進むべきか。それとも思い出とともにひとり生きるべきか。 最後に衣津子の背中を押してくれたのは、文字通り、背中に刻んだ鯉だった。なぜ自分はこの鯉を背中に 背負ったのか。その思いこそが衣津子の進むべき道であったのだ。 悲しく切ない中にも心温まる男と女の物語だった。
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