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結核の文化史 近代日本における病のイメージ
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 名古屋大学出版会 |
発売年月日 | 1995/02/15 |
JAN | 9784815802462 |
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結核の文化史
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福田真人著『結核の文化史 : 近代日本における病のイメージ』(名古屋大学出版会) 1995.2発行 2020.5.16読了 もともとは高橋弘希著『朝顔の日』を読んで、目当てをつけていた本だったが、今般の新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、新聞紙上の対談で本著が紹介されている...
福田真人著『結核の文化史 : 近代日本における病のイメージ』(名古屋大学出版会) 1995.2発行 2020.5.16読了 もともとは高橋弘希著『朝顔の日』を読んで、目当てをつけていた本だったが、今般の新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、新聞紙上の対談で本著が紹介されているのを機会に購入した。定価4635円と少々値が張る上、中古本としても高値で取引されているので、やや敬遠していたが、ついに買ってしまった。 著者の問題意識は、死の病という厳然たる事実と何ら矛盾なく並列的に存在するかのように見える肺病の美化されたイメージがどこからやってきたのかということである。高橋弘希著『朝顔の日』はこうしたイメージ形成に与しているようには思えないが、例えば宮崎駿監督の「風立ちぬ」は近代から続く肺病の美しいイメージが踏襲されている。もっとも堀辰雄著『風立ちぬ』が下敷きにされているのだから当然といえば当然だが。著者はこうした肺病のロマン化に対して、否定的な立場に立っており、それは「イメージが病の実像に先行し、その実像を誤またせる時、病に対する的確でもっとも効果的な方法をさえ見誤またせる恐れがある」(p359)という一文で明らかである。本書で言えば、森鷗外のヒロイズム的な認識と行動がどれだけ肺結核の蔓延に寄与してきたかを考えると戦慄を覚えるほどである。感染症の流行は、人間の素地をのぞかせるものだ。個人の利益と社会の利益がこれほど衝突する例はないだろう。しかし、それもまた人間の営為の一つであり、公共の福祉は一人ひとりの幸福を積み上げたものであるから、森鷗外の選択に少なからず共感を覚えると同時に、正岡子規のありのままの生をさらして生きるという選択にも共感を覚えるのである。それは、両者ともに人間のある側面を克明に活写しているからであり、ある意味、死という同じ宿命を背負った私の分身をそこに見るからである。 https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000002395254
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福田眞人(比較文学比較文化・医学史・明治文化史専攻) 序章 結核とその文化史的意義について 第一部 結核をめぐる社会と個人 第一章 殖産興業と女工哀史 第二章 鴎外・コッホ・肺病 第二部 結核のロマン化と非ロマン化 第三章 肺病のロマン化 『不如帰』とその系譜 第四章 子規と肺...
福田眞人(比較文学比較文化・医学史・明治文化史専攻) 序章 結核とその文化史的意義について 第一部 結核をめぐる社会と個人 第一章 殖産興業と女工哀史 第二章 鴎外・コッホ・肺病 第二部 結核のロマン化と非ロマン化 第三章 肺病のロマン化 『不如帰』とその系譜 第四章 子規と肺病患者たち 第三部 結核と医学 第五章 肺病・サナトリウム・転地療養 第六章 医学書・療養書と結核予防運動 終章 遠のいた死と残されたイメージ 第一章 殖産興業と女工哀史 ・コレラは衛生の母 ・不平等条約のため船舶検疫が充分でないと考えられた=条約改正の契機に ・地租改正=長男が小作料を払う→痔主が地租を国家に納入→資金を政府が工場の新設と軍備増強にあてる ・下級武士=停滞的過剰人口、産業予備軍 ・都市化、産業化、結核流行=産業革命後のイギリスと同じ ・急激な都市化、階級分化の過程で出現した労働力 ・石原修=労働環境改善の契機 第三章 肺病のロマン化 『不如帰』とその系譜 ・明治17 『椿姫』 ・明治22 廣津柳浪『残菊』 エリートが主役、愛の勝利 ・明治29 樋口一葉の死=夭折のイメージ ・明治31 徳富蘆花『不如帰』 佳人薄命のイメージ=西欧ロマン主義からの伝統 ・家庭内感染の例=キーツ(イギリスロマン派、シャークスピア)、ブロンテ姉妹(嵐が丘)、白隠、新選組、森鴎外、樋口一葉、石川啄木 ・キリスト教のロマン性 明治8 信教の自由 ・女である苦しみを訴えるヒロイン ・上流社会と悲劇性 ・新派で大流行 ・藤村操の自殺、『若きウェルテルの悩み』=若者の夭折=センチメンタルなロマンティシズム(女学生小説) ☓中世への回帰(イギリス) ・明治35 永井荷風『新任知事』 ・明治40 泉鏡花『婦系図』 ・竹久夢二(ホイッスラー、ムンク、フォーゲラー、ビアズレー)、青木繁、村山槐多 ・堀辰雄
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