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津軽 失われゆく風景を探して 新潮文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社/ |
発売年月日 | 1995/11/01 |
JAN | 9784101391113 |
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津軽
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商品レビュー
4.3
4件のお客様レビュー
紀行ではおさまらない 通常の旅ではなかなか見ることがかなわない土地の人の素の姿や、場所の匂いまで 感じとり暴き出すような文章。 著者が演出家の感性と視線を持っていたから 稀有な体験をしたのだろうかと思われる。 太宰治の書く〝津軽〟以上に 津軽本体を描きだしているのでは。
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イギリス出身の著者は、太宰治の「津軽」を読み、44年前に彼が見たその風景に触れてみたくて5月の津軽を歩いて旅している。外国人、非津軽人という二重のアウトサイダーながら、著者の洞察力には驚かされる。
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英国出身の著者が、太宰治の「津軽」の足跡を一人で歩いてたどるというのがこの本の内容。となると、ふと疑問がわく。著者は太宰の「津軽」のどこに魅せられたのか。 気がついたのは、著者が太宰の「津軽」からシンパシーを感じていたのならば、“孤絶感”に対してではないか、と思える点。 アラン...
英国出身の著者が、太宰治の「津軽」の足跡を一人で歩いてたどるというのがこの本の内容。となると、ふと疑問がわく。著者は太宰の「津軽」のどこに魅せられたのか。 気がついたのは、著者が太宰の「津軽」からシンパシーを感じていたのならば、“孤絶感”に対してではないか、と思える点。 アランが歩き疲れた末に入る宿屋でまず出くわすのは、彼と決して目が合わないよう下を見続けるフロントの人。たまに食堂とかで彼に話しかけてくる地元民も、英国人の彼へアメリカの話題という勘違い。彼は津軽人にとって“部外者”なのか? だがアランは津軽三味線を愛し高橋竹山に会ったこともある。カラオケは北島三郎が十八番だ。彼のハートは日本人と異なるところがない。なのに見た目だけで排除するのか。それが“日本文化”か?アランも津軽で受けたのがそんな振る舞いばかりなら、この本は比較文化論、つまり“ガイジンが見た津軽”となっていたかもしれない。 弘前の偶然入った飲み屋で出会った、米屋のマツオカさん(松岡さん)のエピソードでは、アランの文章が冴える。 松岡さんはアランに、誰もが必ず外国人に対してしようとする「どこから来たのか」などのお定まりの質問は一切抜きで話しかけてきた。そして2人は地元の話題で盛り上がり、アランは穴場の温泉を教えてもらう。アランはその温泉に行くが、地元民に会って弘前の松岡さんの話をしたら、その人は別の人に目配せし、頬に指ですうっと線を引いた。だが翌朝、弘前から車を飛ばし、先に湯船で徳利を置いてアランを待っていたのは、その松岡さん。松岡さんにとって、アランを一人ポツンと送り出すことなど考えられなかった。 アランは思ったに違いない。松岡さんは自分を外国人やよそ者としてでなく「津軽を愛する人」として迎えてくれたんだと。アランがいくら太宰や津軽に造詣が深くても、日本語ペラペラでも、やはり彼は津軽人ではないし日本人でもない。それは揺るぎようがない。でも、旅をしながら、津軽の空気を吸うことで、津軽人と同じハートを持とうとしているのが読んでいてわかる。 一方、太宰も諸々の事情で孤絶感とともに故郷を離れたが、津軽の旅から得た様々な思いが「津軽」に結実した。 太宰が持っていた孤絶感と津軽愛とを、アランも同じように持っていた。だからアランは太宰の津軽を持ち歩く必要があったし、この本には太宰の津軽と同じだけの文学性が詰まっている。 (2011/8/19)
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