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おにいちゃん 回想の渋沢龍彦
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
発売年月日 | 1995/09/20 |
JAN | 9784480813855 |
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おにいちゃん
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商品レビュー
4.3
4件のお客様レビュー
独特の世界観人生観を覗けた。 からっとしていない。日光を浴びていない。おそらくは和洋折衷の室内で、深々と溜まってゆく体温と体臭に悩みながらも、独自の都会性を目指している。 いい資料であるだけでなく独特なエッセイ。 気持ち悪いと言い切ってしまうこともできるくらいの切迫があるが、筆力...
独特の世界観人生観を覗けた。 からっとしていない。日光を浴びていない。おそらくは和洋折衷の室内で、深々と溜まってゆく体温と体臭に悩みながらも、独自の都会性を目指している。 いい資料であるだけでなく独特なエッセイ。 気持ち悪いと言い切ってしまうこともできるくらいの切迫があるが、筆力のゆえに心地よい読書となる。 ほんとうに独特、というのが一番の感想だった。
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なんでだろうね、こういう本を読むといつだって人は個でしかなく、対人、対世界と共有し合えるのはいくつかの点でしかないのだと確信してしまう。一見その点が多ければ多いほど滑らかな線を描くような気もするのだが、実際そうでもないのだと思わされた。あちこち夜空に光る星のように散らばってるんだ...
なんでだろうね、こういう本を読むといつだって人は個でしかなく、対人、対世界と共有し合えるのはいくつかの点でしかないのだと確信してしまう。一見その点が多ければ多いほど滑らかな線を描くような気もするのだが、実際そうでもないのだと思わされた。あちこち夜空に光る星のように散らばってるんだね、点って。私が常に抱いていた矢川澄子への恐怖心が、違うベクトルに進もうとしている。
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結局、なにがいいたかったんだろうと思った。いいたいことはなんとなくわかるんだけど、でも、なにがいいたいのだろうと。最後のエッセイの中に含まれる中絶のことが、いちばんいいたかったことではないと思うのだけれど、最後に持ってこられているし、このような目にあった同性の方の一助になれば的な...
結局、なにがいいたかったんだろうと思った。いいたいことはなんとなくわかるんだけど、でも、なにがいいたいのだろうと。最後のエッセイの中に含まれる中絶のことが、いちばんいいたかったことではないと思うのだけれど、最後に持ってこられているし、このような目にあった同性の方の一助になれば的なあとがきもあるし、そこのインパクトが全体の中で浮き上がってしまっている。たぶん、中絶の苦しみや女性としての屈辱だけではなくて、自分と少年の間にはこういうことがあって、それは夢のようにすばらしいものでもあって、でも、そこにとどまり続けることはできなかった。キツイ表現でいうなれば、少年と少女の幸せな生活は、複数回の人工妊娠中絶や少女が少年の母の役割を兼ねることによって成立していて、少女はイタミに耐え切れず長くは続きませんでした。そして、いまも傷は甘く切なく痛々しく癒えておりません。ということかしら。幸福と不幸を同時に味わったってことかな。もちろん、さまざまな芸術・文化・文学エッセイとして、澁澤作品の背景として読む価値アリ。
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