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昨日 ハヤカワ・ノヴェルズ
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 早川書房/ |
発売年月日 | 1995/11/30 |
JAN | 9784152079756 |
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商品レビュー
3.7
13件のお客様レビュー
「昨日、心当たりのある風が吹いていた」で始まりながら、物語の中ではほとんど吹かない風。 絶望的で、息苦しい物語。著者は「悪童日記」三部作の続編とはしていませんが、「第三の嘘」に続くものと読むことは可能だと思います。
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祖国から、家族から、時間から、夢から、書くことから引き裂かれる強烈な痛みを抉り出した物語。 1956年、作者は21歳の頃に、夫とともに生後わずか四カ月の娘を連れて、ハンガリーからオーストリアへと逃れ、スイスはヌーシャテル市、ヴァランジャン村へ移住した。そこは、フランス語圏の土地...
祖国から、家族から、時間から、夢から、書くことから引き裂かれる強烈な痛みを抉り出した物語。 1956年、作者は21歳の頃に、夫とともに生後わずか四カ月の娘を連れて、ハンガリーからオーストリアへと逃れ、スイスはヌーシャテル市、ヴァランジャン村へ移住した。そこは、フランス語圏の土地だった。作者は母語のハンガリー語から引き裂かれた。両親やきょうだい、友人たちにさよならを言うこともできなかった。読者を獲得するため、作者はフランス語で執筆する必要に迫られた。そして1970年代から、後天的に獲得したフランス語で作品を書き始める。 >この言語、フランス語を、私は自分で選んだのではない。たまたま、なりゆきによって、フランス語が私に課せられたのだ。私は、自分が永久に、フランス語を母語とする作家が書くようにはフランス語を書くようにはならないことを知っている。けれども、私は自分にできる最高を目指して書き続けるつもりだ。これは挑戦である。ひとりの文盲者の挑戦なのだ。 これらの経緯を予備知識として頭に入れてから本作を読むと、より鮮烈にトビアスの内面の引き裂かれようが胸に迫ってくる。 作者はヌーテシャルの時計工場で働いていた。なお、父親は小学校教師であり、夫は高校の歴史教師である。 これらは主人公のトビアスと、彼の希求する女性リーヌ(カロリーヌ)に、ほぼそのまま投影されていることが分かる。トビアスとリーヌは作中ではきょうだいであったが、別の次元では同一人物でもあるのだ。 幻想を追い求めるトビアスと、現実的に生きようとするリーヌ。ふたりは亡命先(カロリーヌにとっては、夫の赴任先)で運命的に再開し、ひととき愛を育むが、その愛は決して報われることがない。 こうして、夢と現実は永久に引き裂かれ、祖国と異国は分かたれたままとなる。引き裂かれたものは他にもある。肉体的労働と観念的労働、日々の暮らしと書くこと…… 名前について。 カロリーヌのことを、トビアスは自らの理想を仮託してリーヌと呼び続ける。カロリーヌは、彼がトビアスであると分かったあとも、偽名のサンドールと呼び続ける。 互いが互いの本質を見ていないことを端的に表しているが、ここで、作者がフランス風の読み方「アゴタ・クリストフ」としての名が通っていること、つまり本来の「クリシュトーフ・アーゴタ」(ハンガリーでは姓と名の順序が日本と同じ)では呼ばれないことを思い出すと、なんとも切ない。 文体は「悪童日記」をはじめとする双子シリーズとは異なる、詩的かつ抒情的な作風となっている。そのため、双子シリーズに感じられた抜身のナイフのような鋭さは幾分和らいでいるように感じられた。
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「もちろん、私は死んではいない」で笑いつつも最後のページで救われた気持ちになったのは確かです。第三の嘘を読む前に読んでしまったのですが巻末のはネタバレなのでは...と斜め読み。すぐに包丁持ち出すのはどうかと思うよトビアス。
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