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東京暮らしの逆襲
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 角川書店/ |
発売年月日 | 1995/05/01 |
JAN | 9784048834056 |
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東京暮らしの逆襲
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(2008年04月08日 17:57) たとえば、私は写真がすごくすごく好きなので 何らかの理由で写真撮れなくなる、とか、撮った写真が全部なくなってしまう(燃えるとか水没するとか)のが怖いから、そもそもカメラを所有することをやめてしまう ……という感覚。 私は登山靴を2度、カ...
(2008年04月08日 17:57) たとえば、私は写真がすごくすごく好きなので 何らかの理由で写真撮れなくなる、とか、撮った写真が全部なくなってしまう(燃えるとか水没するとか)のが怖いから、そもそもカメラを所有することをやめてしまう ……という感覚。 私は登山靴を2度、カメラを2度、手放している。写真も、ある時期より前の作品は全て処分した。 アホだ。 まついさんも、たぶん同じような感覚の持ち主なのだと思う。 「ガクゼンとしました。何って私、ふと思って自分の部屋の中、みわたしてみたら、ひとり暮らし始めた8年前に持ってた持ち物って、何ひとつ残ってない! あ、例外がふたつ、国語辞典とミケネコ1匹」(『東京暮らしの逆襲』より) *************************** ことしのソメイヨシノは、ちょっとぞっとするような、この世に属するものじゃないような咲き方だ、と思って見ていた。みなさんのお住まいの地域ではいかがでしょうか。 見事な咲きっぷりは現実味がない程だ。ひとつの花序(ひとつの花芽)の中に入ってる花の数がしっかりと多くて、ひとつひとつの花序が花の手毬みたいにまあるく大きくて、それを枝の先の先までびっしりと着けている。昔、弘前城のソメイヨシノ(日本で一番管理状態が良いといわれている)を見にいった。あそこの咲き方の感じだ。 例年ならこれくらいでもう満開だろう、というボリュームになってからも、まだ花序はつぼみを控えていて、「満開」といっていい程の見頃になってからも次々と咲かせたために、花期も長かったように思う。 そのソメイヨシノもさすがに散り始めて、散り始め頃、爛漫の限界をもちこたえられなくなって、ぷつっと切れた瞬間、みたいなこの日の桜が、花見としてはいちばん好きだ。散り敷いた花弁が踏まれるためか、夜気にクマリンの香りがかすかに含まれる感じになる。(もう少し経って花柄と萼も落ちる頃には、ちょっと強すぎてむせるような香りになる) きょうがその咲き方で、「今日の散り方がいちばん綺麗だから、きょう見ないとダメだよ来い!」と、近所の友達を呼び出した。 「散り方って何だよそれ」「ここを過ぎると散るほどに汚くなる。散るのが綺麗なのは今この瞬間だよ!」 深夜の善福寺公園を歩いた。こうこうとしろく蛍光灯に照らされた、うそみたいな桜。 ガス灯だったらどう見えるんだろうね。ちゃんと生き物らしく見えるのだろうか。 *************************** 歩きながら、とりとめない話をしながら、「所有する」ということをずっと考えていた。 この咲き方はもう来年には再現しないし、いつ見られるかわからないのにもう散ってしまうことを、とめることも残すこともできない、という、絶望にも焦りにも似た気持ちでいたからだろう。 何かを所有する、というのは、それがゼロに戻るときの気が狂わんばかりの痛みと嘆きを引き受ける覚悟のことだと思う。 時々、旅に出てほっとするのは、小さなナイフと火器と寝袋があればいつでもゼロに戻っても大丈夫だ、と確認しているのだと思う。 ある時期までのまついなつきの文章がすごく好きなのは、「所有」への恐れ、身ひとつで旅に出たときの言い知れない安心感。そのへんの感覚を共有しているからだ、と思う。 まつい氏は、所有しないという方向での愉楽を一旦極めたあげく、やはり「所有」の覚悟をどこかで引き受けた。まさにそのターニングポイントにあたる頃書かれた文章が、ぐっちゃぐちゃに詰め込まれた希有な記録が、この本であるように思う。 なんでこんなに好きなのか今迄説明できずにいたのだけど、今年の桜で納得した。 *************************** そんなようなことを込めて「今年の桜はほんっとに、すごく綺麗だよねえ」と友達に言ったら、「え? そう? よくわからない」という一言で終わった。 写真を撮ろうと思ったら丁度フィルムがきれていた。カラーネガは持っていたけど、どうしてもモノクロで撮りたかったので、何も撮らずに帰ってきた。
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