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ふたつの夏
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 光文社/ |
発売年月日 | 1995/07/30 |
JAN | 9784334922498 |
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ふたつの夏
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※このレビューにはネタバレを含みます
最初の象徴のような詩を谷川さんが書き、その後の三編の短編を佐野洋子さんが書かれているという、不思議な本。 人のうつくしさを強烈な嫌悪とともに描いているようなお話。 夏休みにだけやって来る、なまっちろい、骨が浮かぶ肌がうつくしい学者を目指す少年と、その土地でそこでの生き方で生きてきた少女のたった一度の精神まで解けあうような経験。少女の眼からの、その当時の日記と、現在の大人になった少年からの夏の重なり合い。 父親がいない少女と母親の挑む父親参観。そこでねずみのようなお父さんたちを一網打尽にしてしまうのがお母さん。そんなお母さんは父親のことは何ひとつはなしてはくれない。ひりつく暑い夏、死にたいというよりも生きていたくないと思っていた男性は、タイ人の自殺に巻き込まれて死んでしまう。ゲイだった自分の恋人は、これにほっとするだろうか、と思いつつ、今、もう死すら経験して穏やかな時間に安心している彼が、実は。という二編目。 浮気をしている夫へのあてつけに買うつもりだったお墓。それを思いとどまらせたのはセールスマンの言う、「ここに入って眠ったらいいなんて、安心して生きて行けます」。それならと、日当たりのいい、海の見える場所に買ったお墓。彼女は今日も娘のマイペースさに向き合いながら、夫の浮気を聞き流す。 セールスマンの心に残った、お客さんの娘さん。彼女の祖父の役割を演じながら書き綴る、今日買われたお墓に彼女たちが入っていくまでの物語に満足する。彼は素晴らしいお墓にお客さまが入っていくことへ、心から喜びを感じているのだった。 胸に刺さるというよりもぬるりと隙間を通って内側の柔いところにさわっていくような短編。我慢できずに一気読みだった。もっと読みたい。
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