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日本人とアイデンティティ 心理療法家の着想 講談社+α文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 講談社/ |
発売年月日 | 1995/01/20 |
JAN | 9784062560788 |
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日本人とアイデンティティ
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商品レビュー
3.7
7件のお客様レビュー
日本人って独特の人種…
日本人って独特の人種だなぁって思う、日本人的性格って確かに最近では変わりつつあるけど、まだ残ってて、それはいい面もあるけど、悪い面も多い。
文庫OFF
日本人とアイデンティティ 心理療法家の着想 1995.01.20 講談社は 日本人とアイデンティティ 心理療法家の眼 1984.08.10 創元社 の改装版。 当時(1977~1984)の雑誌にのせた随筆をまとめた本 2つの本は、同じ題名だが、文章の順番を入れ替えて構成を変え...
日本人とアイデンティティ 心理療法家の着想 1995.01.20 講談社は 日本人とアイデンティティ 心理療法家の眼 1984.08.10 創元社 の改装版。 当時(1977~1984)の雑誌にのせた随筆をまとめた本 2つの本は、同じ題名だが、文章の順番を入れ替えて構成を変えている。新装版なのにこれだけ文章の順番が変化している本は私ははじめての体験。これだけ変わると、読者に伝わる印象もずいぶん変わってくるのではないだろうか。 わかりやすいのは1995の講談社のほうだが、古いほう 創元社を先に読んだ。 今では、日本人論・教育論の先鞭をつけた人物の河合さんだが、当時1984年の創元社では「河合隼雄」が、今後どういう方面に頭角を現すかを見定めていなかったのではないか?その点、11年を経ての、講談社では「河合隼雄」のプロフィールが定まっていたので、本の目次も決めやすかったと思われる。 少し余談だが、創元社刊で、この本より6年前の1978年に同じように河合さんの雑誌の記事を収集した本が既に発刊されている。それは「新しい教育と文化の探究」という本で、1971~1978年の雑誌に掲載された随想などをまとめた本。 この「日本人とアイデンティティ」は、それの続編なのだ。つまり、このシリーズは、日本人論より教育論が先だったのだ。 それにしても、初期の多方面にわたる雑誌から河合さんの随筆や評論を収集した創元社の髙橋輝次さんの功績は大きいものがある。「新しい教育と文化の探究」と「日本人とアイデンティティ」は、随筆家「河合隼雄」の源流を知ることができる貴重な本だと思う。 髙橋輝次さんは、調べてみると、その後、創元社を辞めて作家になっている。 髙橋輝次さんの『編集の森へ~本造りの喜怒哀楽』に河合さんのことが書いてあるのを発見した。その中で「(作家は)話の上手な方と文章の巧みの方に大方は分かれるようだ。両方兼ね備えた方は河合隼雄など、わずかしかおられなかった 」と河合さんの偉大さを髙橋さんは語っている。
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日本人に自我がないとよく言われる。それは「場の論理」によって相対的に自分の意見を決定してゆく女性的原理に基づいているからであって、西洋の男性的原理に基づく近代的自我の「個の論理」とは異なるというのが本著の論旨。ユング心理学が注目を集めるのはウーマンリブ時代のフェミニズム思想、女性...
日本人に自我がないとよく言われる。それは「場の論理」によって相対的に自分の意見を決定してゆく女性的原理に基づいているからであって、西洋の男性的原理に基づく近代的自我の「個の論理」とは異なるというのが本著の論旨。ユング心理学が注目を集めるのはウーマンリブ時代のフェミニズム思想、女性の社会進出の状況にフロイトやアドラーなどの男性風心理学で対応できなくなってきたことを世界的背景として、80年代の経済摩擦を抱える日本にとってこの自我の質の違いが喫緊の課題となっていたことが当時のユング心理学流行の要因であるらしい。それを解消する概念として劣等感コンプレックスを鍵として提示する。コンプレックスとは部屋のモノが片づけられないまま物置に放り込まれたような状態であるとして、そこに触れることは神経症者にとって直面しがたい現実に向き合うことではあるが、それを放置することは劣等感コンプレックスに潜む優越感や、安易な幸福を助長することになりえるという。すなわち劣等感の根源となった物事に本人が積極的に取り組むようなことがあるとコンプレックスは解消して、優劣に基づかない客観的な自己肯定感を築けるのだという。そのようにコンプレックスを善悪の両義性を備えた相対的な複合体であるとして理解すると、物理的宇宙論を思想としてミクロコスモスに適用しうるし、日本の身心一如が自我の統合概念であるとも説明しうるとする。ユングは「コンプレックスのほうが我々を持つことができる」と語り、夢のなかでコンプレックスが人格を持つことを説明する。その場合のコンプレックスはその人格以上の、神や英雄といった存在を象徴することもある。投影法は臨床家の訓練に役立つが、究極には投影されたものとしての夢の分析が目標となる。ところで「場の論理」が個人的自我に与えた影響として遠藤周作のロドリゴ神父の踏絵の話題に触れている。日本の「土」が神父のなかのキリストを変えたのだという下り(141p)は時代を超えても革新的な論述である。 以上が総論で、後は各論が続く。精神医療現場での様々なトピック。思い出のマーニーやセンダックなど児童文学について。病跡学などの新しい分野について。どの話題も話が抜群におもしろいのではあるが、 不純異性交遊をする少女の話はとりわけおもしろく、世の中には理屈があってダメなことと理屈抜きでダメなことがあると説明するだけでよいとのこと。そのように父親のように権威的に責任をとってくれる存在がいればいいのだという。ただし集団非行となるとそうとはいかないと難しさを認める。別の話題で、このような父性の欠如の問題は絶対的父性のあるキリスト社会ではない日本において解決が難しいと述べている。だが著者の幼少時の体験として、父親が自分自身にサンタクロースのプレゼントを贈って家族にサンタクロースを信じさせたことを挙げて、最大のプレゼントとは夢であると、ユング心理学者らしく見事に本を綴じている。
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