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エスニック・アメリカ 民族のサラダ・ボウル、文化多元主義の国から
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エスニック・アメリカ 民族のサラダ・ボウル、文化多元主義の国から

越智道雄(著者)

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エスニック・アメリカ 民族のサラダ・ボウル、文化多元主義の国から

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 明石書店/
発売年月日 1995/11/30
JAN 9784750307633

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2020/05/06

アメリカ合衆国研究者による、60年代の公民権運動以後の、合衆国の多文化状況についての報告書。1988年から1995年までに主に『世界週報』に寄稿した論文から構成されている。1960年代の公民権運動とアファーマティヴ・アクションによって中流階級化した黒人と、大都市のスラムから抜け出...

アメリカ合衆国研究者による、60年代の公民権運動以後の、合衆国の多文化状況についての報告書。1988年から1995年までに主に『世界週報』に寄稿した論文から構成されている。1960年代の公民権運動とアファーマティヴ・アクションによって中流階級化した黒人と、大都市のスラムから抜け出せない黒人の間の格差に加え、黒人の社会上昇に自らがおびやかされていると感じる白人労働者階級による共和党保守のレーガン支持、そして黒人の中でも自らの努力により成功した超人的な人物はアファーマティヴ・アクションの廃止を訴え、レーガンら保守支配層にその主張が利用されるという60年代後半~90年代半ばの複雑極まりない合衆国の多文化社会について報告されている。私は著者の主張に必ずしも賛同するわけではないし、25年前の本なので情報的にはかなり古くなっているが、にもかかわらず、合衆国の反差別運動が実現できたこと、できなかったことが何だったのかを知るために本書は必読の書であろう。 また、要約が非常に困難かつ、内容がセンシティヴなので、あえて本稿では語らないが、 *第1部第8章「袋叩きの日本「ユダヤの知恵」に学べ――日本の反ユダヤ主義に抗議するアメリカ・ユダヤ委員会指導者」(本書86-99頁、初出は『サンサーラ』1992年8月号) *第1部第9章「差別表現としての『マルコポーロ』事件――ユダヤ反差別団体の対日戦略」(本書100-114頁、初出は『宝島30』1995年4月号) にて描かれた、日本の反ユダヤ主義者の言論と、それに抗議する合衆国のユダヤ人団体のやりとりを描く中で顕わになっている、日本に於ける政治的正しさ(ポリティカル・コレクトネス)のあり方は、反人種主義を考える人ならば、必ず一読すべきだと私は思う。 なお、本筋からはズレるが、80年代末~90年代にかけて、アファーティヴ・アクションの恩恵を受けられず、スラムに留まることになった黒人の間でマルコムXが「黒人の英雄」として復活したことについての、著者の意見が非常に興味深かったので、その部分を引用する。 “ 差別されるときの生な感覚は「去勢された」という感覚である。私自身、海外で小さな人種差別を受けるたびにその感を深くした。リンチで木につるされた黒人は、必ず勃起したペニスを切断され、それを口にくわえさせられた。喉仏を砕かれるとき、勃起が起こるのだ。差別体制下で黒人男性が苦しんだのはこの去勢感覚だった。その差別是正の音頭をとったキングは、非暴力を唱えたが、これは差別の去勢に非暴力の去勢をつけ加えることになり、ストークリー・カーマイケルら若い指導者は「黒人のマンフッド」を求めて「ブラック・パワー」を唱え暴力武闘路線に転換した。  そのとき彼らが模範としたのが、キングより年上ながら、すでにキリスト教国のアメリカから分離し、「イスラムの国」を建国して割拠独立する武闘路線を主張していたマルコムXだったのだ。ロスのワッツ暴動(一九六五)に始まる「長く暑い夏」は、マルコムXを師と仰ぐ「新ゲットー人種」が主導した。ゲットーとはスラムのことである。  若者ギャングのことは、映画『カラーズ』(一九八八)やアフリカ系監督ジョン・シングルトンの『ボーイズ・ン・ザ・フッド』(一九九一)、『ブラッド・イン・ブラッド・アウト』(ビデオ化一九九四)などをご覧願いたい。とにかくロスを中心に、全米のアフリカ系およびヒスパニックの住む都心ゲットーで、彼らの殺戮合戦は日々くり返されているが、これこそ都心ゲットー脱出に失敗した若者たちが「マンフッド」を回復する悲劇的かつ究極的な行為なのだ。当然彼らの間では、ホメロスの『イリアッド』に匹敵する武勲詩が語られ続けている。”(本書52頁より引用) ホメロスの『イリアッド』(『イリアス』)ではなく、『オデュッセイア』なら、柄谷行人、浅田彰、岡崎乾二郎、奥泉光、島田雅彦、絓秀美、渡部直己『必読書150』(太田出版、2002年)でも教養書の一冊として薦められているのを御記憶の方も多いと思うが、知識人が「教養」として賞賛する古典となった「武勲詩」も、その実態はロサンゼルスのギャングの抗争のようなものだったのかもしれないと、本書を読んで感じた次第である。

Posted by ブクログ