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シェルシーカーズ(下)
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 朔北社/ |
発売年月日 | 1995/09/29 |
JAN | 9784931284098 |
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シェルシーカーズ(下)
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商品レビュー
4.5
5件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
ペネロピの心意気のよさ、どこかで読んだことがあるなとおもったら、梨木香歩さんの「春になったら苺を積みに」にででくるウエスト夫人を彷彿とさせます。 お客さんをもてなすのが上手で、庭を愛し、気持ちのよい人。 イギリスの夫人はみんなこんなに素敵なのかと空想してしまいます。 後半に出てくる「癪癇」という言葉、(かんしゃく)と読むのかしら、でも意味がちょっと合わないようなと調べたら、(てんかん)だったようですね。
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「シェルシーカーズ」という絵の思い出が鮮明に描かれるとともに、ペネラピの若い頃の恋、今彼女を助ける若者二人と、距離のある子どもたち、そして人生の終焉が描かれる。 陳腐な言い様だが、激動の時代をまさに生き抜いた女性が、どこまでも自分らしく生き切ったさまは、美しいと思う。母親の生き方に共感しているただひとりの娘であるオリヴィアが、最後に母親を守ろうとしてほとんど感情のまま言い切った言葉が、ペネラピが彼女に与えた全てを表しているように感じた。
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画家の父と、年若く姉のような存在の母に育てられたペネラピ。 父の残した絵「シェルシーカーズ」を軸に、これまでの人生に思いを巡らせるペネラピの人生のフィナーレを綴った長編小説である。上下巻に分かれずっしりとしたボリュームのある作品だが、心の動きのピッチに合わせ緩急のある回想シーンが多く、あっという間に読了した。 彼女が三人の子どもたちから心の距離を置くのと比例するように、未来を見据えて進む若い友人アントーニアとデーナスに愛情を寄せる様子が切ない。若い友人二人に寄せる情の深さに触れるたびに、なぜ彼女の温かい心から生み出された価値観は血を分けた子どもたちに伝わらないのだろうかと悲しくなる。遺言状読み上げのシーンでは死してなお、彼女の思いが真に理解されることがないのだとむごい現実を突き付けられたようだった。 個人的にはドリスがいちばん好きな登場人物である。 まっすぐでさっぱりとした人柄、彼女がいなければペネラピは戦時下の生活を(しかも母を亡くし落ちこむ父をそばでみつめながら)生き抜いていくことは難しかったのではないだろうか。喜びも悲しみも分け合い、ペネラピが抱える後悔も、新たに抱いた愛情も、道徳にとらわれずにまっすぐ受け止め、朗らかに励まして支える。 終盤、ドリスとの再会のシーンでは彼女の変わらない暖かでまっすぐな気持ちが、40年という月日の隔たりを一瞬にして埋めた描写に感動がこみ上げてきた。 そして特筆すべきは、この作品全体を通して綴られる植物の描写の美しさである。コーンワルの庭で幼いナンシーが遊ぶそばで揺れていた花、晩年を過ごしたポドモアズ・サッチの温室。どのような環境でもいきいきと花開く植物の描写が、自分らしい人生を歩むペネラピの信念の強さを引き立てており、とても印象深い。
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