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荷風さんと「昭和」を歩く
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荷風さんと「昭和」を歩く

半藤一利(著者)

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荷風さんと「昭和」を歩く

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 プレジデント社
発売年月日 1994/12/27
JAN 9784833415460

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2018/05/07
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ちくま文庫の「荷風さんの昭和」を借りようと思ったら図書館に蔵書がなく、元本の文春文庫「永井荷風の昭和」を探しても図書館にはなく、さらに元々のプレジデント社のこの本をようやく借りることができた。 現金も貯金も持っていたのに、よれよれの格好で孤独死した、ダンディだった、偏屈な、そして寂しい人だった永井荷風が私は好きだ。 こういう年寄りにはなりたくないなあと思いつつ、なりかねないような気もしている。 大金の持ち合わせはないだろうけど。 世情に流されず、思うところをはっきりというところが好きなのね。 頑なに過ぎて、親しい人ともどんどん疎遠になっていってしまったけれど、それでも自分を曲げることができない。 フランス趣味なのが気障だなあと若いころは思ったけれど、多分フランスの頑なさの中に、自分と同じ確固たる信念を感じていたんじゃないかな。 日本人はあまりに簡単に流されすぎるので。自分がなさすぎるので。 荷風さんの日記「断腸亭日乗」を紐解きながら、昭和という時代を振り返る著者。 私の持っている「断腸亭日常」は岩波文庫の上下巻版なので、カットされている部分がかなり多くて、全集版や中央公論社版などを読み比べ、カットされていた部分に何が書かれていたのかを明かされて、ますます荷風さんが好きになる。 体制批判などすれば、どこぞに連れていたれて拷問にかけられるかもしれない。 だから書きたいことを書きながら、ヤバそうなところを消していく。 しかし何が消されたかは、その気になればわかる消し方。 「じいちゃん、無理しなくていいよ」という気持ちと「もっと言ってやって!」という思いに私も揺れる。 “この度日華交戦の事について日本人は暴支膺懲(ようちょう)の語を以て表榜となせり。余窈(ひそか)に思うに、華人等其領土内の互市場より日本人を追及せむとするは、曾て文久年間水戸の浪士が横浜開港場を襲撃せむとし、又長藩の兵が馬関通過の英蘭商船を砲撃せし時の事情と毫も異る処なし。英仏連合艦隊の長州攻撃するや特に膺懲というが如き無意味なる主張をなさざりき。元来、国と国との争奪にはいずれが是、いずれが非なるや論究するに及ばず。又論究せむとするも得べからざるものなり。戦争の公平なる裁判は後の世の史家の任務たるのみ” 江戸っ子の荷風。同じく江戸っ子の漱石。 ふたりとも大の薩長嫌い、権威嫌いなのである。 “文明開化の近代日本というものに、非合理性、前近代性といううさんくささを感じたのは、漱石も荷風もおんなじである。” “その時代へのこだわり方や、反撥の仕方に、どちらも淡白でないものを持っている。権勢富貴にたいする敵視と嫌悪感、徒党を厭い、自分の好みを貫こうとする。激しくねばり強く、二人ともどうやってもいい加減な世界に入れないでいる。あえて違いをいえば、漱石には怒りとともに悲しみがあるのに、荷風には侮蔑があるだけ。荷風には、漱石のように、にがい苦笑で紛らわすような、やさしさはなかった。世から孤立しようとも微塵もたじろがぬ強さが荷風にはあったが、漱石は常に自分のうちに向けられたぎりぎりの懐疑からついに脱することはできなかった。” 「江戸三百年の事業は崩壊した。そして浮浪の士と辺陬(へんすう)の書生に名と富と権力とを与えた。彼らのつくった国家と社会とは百年を保たずして滅びた。徳川氏の治世より短きこと三分の一に過ぎない。徳川氏の世を覆したものは米利堅(メリケン)の黒船であった。浪士をして華族とならしめた新日本の軍国は北米合衆国の飛行機に粉砕されてしまった。儒教を基礎となした江戸時代の文化は滅びた後まで国民の木鐸(ぼくたく)となった。薩長浪士の構成した新国家は我々に何を残していったろう。まさか闇相場と豹変主義のみでもないだろう」(「冬日の窓」) 「昭和」を歩いていたはずが、「明治維新」の頃まで歩いてしまった。 どうも明治維新に呼ばれているっぽい私。 激しく頷きながら読む。

Posted by ブクログ