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十二の遍歴の物語 新潮・現代世界の文学

ガブリエル・ガルシア・マルケス(著者), 旦敬介(訳者)

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商品詳細

内容紹介 内容:大統領閣下、よいお旅を.聖女.眠れる美女の飛行.私の夢、貸します.「電話をかけに来ただけなの」 八月の亡霊.悦楽のマリア.毒を盛られた十七人のイギリス人.トラモンタ-ナ.ミセズ・フォ-ブスの幸福な夏.光は水のよう.雪の上に落ちたお前の血の跡
販売会社/発売会社 新潮社/
発売年月日 1994/12/10
JAN 9784105090067

十二の遍歴の物語

¥880

商品レビュー

4.6

5件のお客様レビュー

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2018/12/22

ラテンアメリカ文学に興味はあるが、「100年の孤独」に挑戦するにはハードル高すぎるので短編集にしてみた。ほぼすべて南米ではなく、外国都市(世界の主要都市)が舞台。亡命し、貧窮生活に落ちた上に、腰椎の病気で痛みに冒された元大統領と、同郷の貧しい病院の職員の交流を描いた1編「大統領閣...

ラテンアメリカ文学に興味はあるが、「100年の孤独」に挑戦するにはハードル高すぎるので短編集にしてみた。ほぼすべて南米ではなく、外国都市(世界の主要都市)が舞台。亡命し、貧窮生活に落ちた上に、腰椎の病気で痛みに冒された元大統領と、同郷の貧しい病院の職員の交流を描いた1編「大統領閣下、良いお旅を」しか読んでないけど、異邦人同士の郷愁の交換が沁みる。 その他、幼くして死んだ娘の遺体が腐らないため、奇跡認定してもらおうと法王を待ちわびる男など、少し不思議な物語が展開される。

Posted by ブクログ

2014/11/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

多分、個人的にはガルシア=マルケスで、一番よく読んでいるのがこれ。 翻訳もいいのだと思いますが、とても読みやすいし、何よりイメージの喚起力がケタ外れ。 (ダテにノーベル賞作家じゃないですねえ) 登場人物の顔形や動く様子が眼前に浮かんで、読み進むのに邪魔なくらい。

Posted by ブクログ

2014/04/25

ガルシア=マルケスの訃報に接し、その死を悼んで何か書きたいと思ったが、『百年の孤独』はもとより、すでに多くの著書や関連する書物について書いてしまっている。そこで、あらためて翻訳された書名を眺めわたしてみたところ、未読の短篇集を一冊見つけ出した。それが、この『十二の遍歴の物語』であ...

ガルシア=マルケスの訃報に接し、その死を悼んで何か書きたいと思ったが、『百年の孤独』はもとより、すでに多くの著書や関連する書物について書いてしまっている。そこで、あらためて翻訳された書名を眺めわたしてみたところ、未読の短篇集を一冊見つけ出した。それが、この『十二の遍歴の物語』である。 書物の成立の経緯については、作家自らが冒頭に置かれた「緒言―なぜ十二なのか、なぜ短篇なのか、なぜ遍歴なのか」のなかで意を尽くして述べている。七〇年代初期バルセロナに暮らしていたときに見た夢がきっかけで、短篇集のアイデアをメモとして子どものノートに書きとめだした。旅行の際も携行し、六十四集まった時点で書きはじめたが、二篇書きおえたところで後が続かず、いつの間にか忘却に任せた。それが八〇年に新聞コラムを書くようになり甦る。十二編のうち五篇がコラム、さらに五篇が映画の台本、一篇はテレビドラマ、そして残る一篇は何とインタビューで話したものだという。もちろん、短篇集にまとめるにあたり、最初から書き直されているのだが、映画はまだしも、これらのうちのどれがコラム記事だったのか、その跡形もないほど見事な短篇となっている。 十二篇に共通するのは、その舞台をヨーロッパにとっていることだ。ガルシア=マルケスは、コロンビアの作家とされており、代表作の多くがコロンビアを思わせる土地を舞台にしているにもかかわらず、コロンビアで書かれてはいない。それらは、ヨーロッパや他の中南米諸国で暮らしながら書かれている。訳者の言葉を借りれば、「彼はいつも、とても遠くから書いている」のである。興味深いのは、その彼が本書では逆向きに、遠くからヨーロッパを書いていることである。 ガルシア=マルケスは、二十代半ばで新聞の特派員となりヨーロッパに渡る。しかし、その新聞が母国で発行禁止となったため失職、そのままヨーロッパに留まることになる。その後、他国を転々としながら小説を発表していくのだが、そのうちの少なくない時間を「ヨーロッパのラテン・アメリカ人」として暮らしている。暮らし向きが決して楽でなかったことは、バルガス=リョサがパリの下宿先の大家から、前の借り手もラテン・アメリカ人だったが下宿代を溜めて困った、とこぼされたのがマルケスのことだったと笑い話にしていることからも分かる。当時の印象が強いせいか、概してヨーロッパに向ける視線には冷たいものがある。 今は亡命先のジュネーブで療養中のカリブ海に面した国の元大統領は、手術後体調は悪化する一方だったが、最後の頼みでマルティニークへ移送されると、元気を取り戻す(「大統領閣下、よいお旅を」)。また、元女優だったメキシコ美人はバルセローナに向かう途中、車が故障したため通りかかったバスに乗せてもらい、合流予定の夫に遅れることを告げようと、停まった先で電話を借りるが、そこは精神病院だった。「電話をかけに来ただけなの」と、いくら言っても信じてもらえず、事態はとんでもないことに(「電話をかけに来ただけなの」)。 ブエノス・アイレスからはるばる法王猊下に拝謁するためイタリアを訪れたプルデンシア・リネーロ夫人は、下船したナポリでホテルに泊まる。食堂のあるホテルには、半ズボンからピンク色のひざ頭をのぞかせたイギリス人観光客十七人がホールの椅子に並んで腰かけ眠りこんでいた。肉屋の豚肉を思わせるその光景に怖じ気を震った夫人は別の階の食事抜きのホテルに泊まることにする。翌日、町歩きから帰った夫人の見たものは、担架で運ばれるイギリス人たちだった(「毒を盛られた十七人のイギリス人」)。 バルセローナ近郊のカダケスに吹く「トラモンターナ」という季節風は猛烈なものらしい。ダリの故郷を紹介したテレビで見たことがある。その風を恐れる現地の少年を無理矢理つれてカダケス行きを強行するスウェーデンの男女たちを待ち受けていたものとは(「トラモンターナ」)。せっかくの夏休みを台無しにしてしまう厳格なドイツ人家庭教師に兄弟が仕掛けた悪意ある悪戯の顛末を描いた「ミセズ・フォーブスの幸福な夏」。上流コロンビア人の若夫婦がベントレーの新車を駆って出かけた新婚旅行先のパリで出会うことになった不条理な結末に胸ふたぐ「雪の上に落ちたお前の血の跡」と、どれも「ヨーロッパのラテン・アメリカ人」の感じる違和感に端を発した物語の数々。長篇小説に勝るとも劣らないガルシア=マルケスの短篇小説の切れ味の鋭さを賞味されたい。

Posted by ブクログ

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