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ニコニコ売春
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 汐文社/ |
発売年月日 | 1994/06/01 |
JAN | 9784811301600 |
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ニコニコ売春
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ニコニコ動画とは無関係で、要するに性を売ることに抵抗を感じていない売春のことである。 娼婦は「人類で最も古い仕事」とも言われ、とある生物学者によるとボノボでも食料と引き換えにセックスさせるという生態があるらしい。まあボノボはさておき、娼婦とは基本的にはやむにやまれずなるもの...
ニコニコ動画とは無関係で、要するに性を売ることに抵抗を感じていない売春のことである。 娼婦は「人類で最も古い仕事」とも言われ、とある生物学者によるとボノボでも食料と引き換えにセックスさせるという生態があるらしい。まあボノボはさておき、娼婦とは基本的にはやむにやまれずなるものであって、借金のカタにとか、他に仕事がなくてとか、生きていくために仕方なくなる、強いられるというものであった。 しかし1980年代から、特に嫌悪感を抱くこともなくニコニコと売春を行う女性=ニコニコ売春が増えているのだという。 「ニコニコ売春」という言葉は作者の造語ではなく、1980年台の後半に登場したようである(その発祥についてはあまり詳しく書かれていない)。近年はあまり耳にしない言葉なので長続きはしなかったのだろうか(「E電」が定着しなかったように)、とはいえ現象としての「売春にあまり抵抗を覚えない女性」というものは継続している。今も生きてそうな言葉でいえば「援助交際」「ウリ」というのが近いだろうか。使用済み下着の販売なども含むので、厳密には売春ではないのかもしれないが、「性的なものを売り物にするのに抵抗感が薄い」という意味合いとしては似たようなものである。 本書の前半というか大半は日本の歴史における売春のあゆみであって、公娼制、従軍慰安婦、終戦後のRAAから連なる赤線、青線といったものを一通り網羅している。それらの売春においては女性達は劣悪な環境に置かれ、逃げ出すこともできず、働けなくなれば容赦なく捨てられるものであった。 もちろん本書発行時の1990年代においても、2017年の現在においても借金などに縛られ無理矢理に性風俗業に従事させられている女性は少なくないだろう。が、その一方で、「生活に困っておらず、売春行為を悪いこととは思わず、従ってニコニコとやっている女性」というものが現れた。育ちが悪いわけでもない、素行が悪いわけでもない、ただ、やりたいことが経済的な理由でできない場合に、売春によって効率的に稼げるというのなら、さほど抵抗なく売春を選ぶのだという。 もちろん見知らぬ男性と肌を重ねるということに全く不快を感じないわけではないが、「大変なのはどんな仕事だって一緒でしょう」という感覚である。 「最貧困女子」という本の中にも、売春(ソープなど)をカジュアルに行っている女性が登場した。本業として一般企業にフルタイムで勤務しており、それに加えて週に一度か二度風俗店に出るのだという。必ずしも借金を抱えているわけでもなく、「欲しいと思ったバッグが買える」とか「行きたいときに旅行に行ける」とか、その程度の理由であった(もっともこうした女性達は表題の「最貧困女子」ではなく、「貧しいが貧困ではない女性」の例である)。 さて本書に話を戻すと、本書のタイトルは「ニコニコ売春」であり、著者もそれについて触れたかったのだと思うが、おそらく専門(あるいは昔取った杵柄)である売春の歴史部分に比べて、「ニコニコ売春」については掘り下げが足りないように感じる。身近な人間やごく数名からの聞き取りに終始している。その少ない事例の中から非常に極端な話があってそれはそれで興味深いが、あくまで伝聞レベルであり、そうした「ニコニコ売春婦」の内面に迫れているとは言い難い。 ついでにいえば前半の歴史部分も、あまり出典が明記されていないので、検証をするには物足りない部分はある。が、そこはたぶん本題ではないので別の本に委ねてもいいだろう。 著者は大正13年の大連生まれであり、本書刊行時点ですでに齢70である。激動の昭和を過ごした上で「ニコニコと売春をする女性」の存在を知れば驚きもするだろうし、理解は困難を伴うであろう。そういう「異物」への驚きを本に記録しようとした姿勢は評価できるのではないか。
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