もう一人の私

桑原知子(著者)

• 販売会社／発売会社: 創元社/
• 発売年月日: 1994/10/10
• JAN: 9784422111605

商品レビュー

2007/03/09

桑原先生の本。講義でお話されてたことも書かれてました。
うーん、二重身が自己を破滅させる「悲劇」となる場合と、新たな自己を生み出したり、将来の人格へ突破の試みとなる「喜劇」になる場合の二種類があるのは分かったような気がします。
いわゆる二重人格とか、そういう危機的なものは前者かな。後者は統合とか、そんな感じのお話になってた気がします。
先生は「もう一人の私」をほぼ対等な、相反するもの、シャドウのようなものという捉え方をされているので、それメインの内容になっていました。ふむふむって思うところと、私が気になる所はこことは違うな、と思うところがありました。

結局のところ、「もう一人の私」とどのようにうまく付き合っていくのか、どうしたら「悲劇」に転がり落ちないか、そういう所に分からない部分が残ったような気がします。それは一人ひとりやり方が違うから一つに決められないなのか、そもそもそのHow toを見つけることが不可能なことなのか(でもそれじゃ絶望的やん…)、ちょっと分からないです。

「アンフィトリオン」というギリシア神話の劇をベースにして、主に二重身の話、あとちょこっと影の話、投影の引き戻しの話、などの書かれた本でした。ふむふむ。読みやすかったです。桑原先生は講義も魅力的だし、この本は分かりやすくて、助かりました。