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西洋近代思想史(上) 十九世紀の思想のうごき 講談社学術文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社/ |
発売年月日 | 1994/04/10 |
JAN | 9784061591233 |
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西洋近代思想史(上)
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西洋近代思想史(上)
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パース、ジェイムス、デューイとともに初期プラグマティズムの代表的思想家G.H.ミードによる19世紀思想史である。カントの批判哲学で頂点を極めた啓蒙精神が、革命の挫折とその反動たるロマン主義によって歴史に回帰したかに見えたが、歴史における自我の発見という迂回路を経て、自我(主体)と...
パース、ジェイムス、デューイとともに初期プラグマティズムの代表的思想家G.H.ミードによる19世紀思想史である。カントの批判哲学で頂点を極めた啓蒙精神が、革命の挫折とその反動たるロマン主義によって歴史に回帰したかに見えたが、歴史における自我の発見という迂回路を経て、自我(主体)と彼我(客体)が弁証法的に進化するヘーゲル哲学によって救済されるというアウトラインだ。 主体=自己を客体=世界に投影し、世界を作り変えることで新たな自己を実現する、この終わりなきプロセスを正面から肯定する楽天的な世界観である。産業革命を切り開き資本主義の原動力となった科学的探究と進歩の理念、つまりは近代精神のおおらかな肯定と言ってもよい。 したがって哲学屋が書く思想史ではあり得ないことだが、近代を疑問視したキルケゴールもニーチェも出てこない。マルクスへの言及はあるが、ヘーゲル哲学の継承としての意義は認めつつ、その理想主義的観念論には冷やかだ。革命は資本主義の進化としての修正(マルクス主義用語では「日和見」)に取って代わられたと見る。他方で非合理主義の権化と見紛うベルクソンを生命の動的過程と進化に着目した哲学として高く評価する。さらにホワイトヘッドを参照し、ベルグソンが死せる世界と見た物理的世界にも動的過程を見出せると。宇宙における実在論と観念論の統一であり、量子力学の世界像とも合致している。 良くも悪くも健康な合理精神を体現したアメリカらしい哲学で、気難しいヨーロッパかぶれの日本の知識人の受けはあまりよろしくない。だがプラグマティズムを所詮は実用主義と軽んじない方がいい。キルケゴールもニーチェも傾聴には値するが、個人の実存と社会哲学を同じ次元で論じても得るものは少ない。確かに個人の実存は社会に還元し尽くせないが、社会と共にあることで自己は自己たり得ることも疑いない。ミードの自我論はまさにその点を強調した。その限りにおいてプラグマティズムの強靭さとしなやかさは正当に評価されてよい。
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