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近代の超克 世紀末日本の「明日」を問う カッパ・サイエンス
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 光文社/ |
発売年月日 | 1994/04/25 |
JAN | 9784334060855 |
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近代の超克
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1942年に、雑誌『文学界』を舞台におこなわれた座談会である「近代の超克」から現代にまで引き継がれる日本の問題を指摘している本です。 それに加えて、この本にはもう一つの意図があります。著者は、京都大学東南アジア研究センター所長を務めていましたが、あるスキャンダルによってその職を...
1942年に、雑誌『文学界』を舞台におこなわれた座談会である「近代の超克」から現代にまで引き継がれる日本の問題を指摘している本です。 それに加えて、この本にはもう一つの意図があります。著者は、京都大学東南アジア研究センター所長を務めていましたが、あるスキャンダルによってその職を辞することになりました。本書は、現代の日本が抱える問題が、著者自身のスキャンダルの背景にあったという抗弁にもなっています。 まず著者は、「近代の超克」座談会での議論は、文明史的視野を欠いた観念の遊戯にすぎないと指摘します。かつて日本は、中華文明圏のなかで独自の文明を築こうと努力を重ねてきました。さらに明治に入ると、ヨーロッパからの文明を急速に導入しようと努めました。現在に至るまでの日本のありようは、こうしたアジアとヨーロッパからの影響によって大きく規定されてきたし、規定されつづけています。それゆえ、日本にとって「アジア」と「ヨーロッパ」は骨がらみになってしまっており、そこから距離をとることは難しく、まして「超克」を安易に語ることは許されません。もし「近代の超克」を語るのであれば、文明史的な潮流のなかで現在生じているさまざまな具体的問題に取り組んでいくことを通してなされなければなりません。 ところが、「近代の超克」座談会からこんにちに至るまで、われわれは「近代」や「超克」といった観念を弄ぶだけで、文明史的な視野に立って現在の諸問題に地道に取り組むことはありませんでした。こうした指摘をおこなうとともに著者は、現実のなかに根を下ろすことのない日本特有の病理が、著者自身をスキャンダルに陥れた「空気」を生み出したのだと主張します。 著者の抗弁はともかくとして、本書では東南アジアの具体的諸問題を実地に見てきたという著者の経歴が長々と紹介されるだけで、その具体的内容にはほとんど触れられておらず、単なるかけ声に終わっているように思います。
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