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回想の江戸川乱歩
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | メタローグ/ |
発売年月日 | 1994/10/30 |
JAN | 9784839820039 |
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回想の江戸川乱歩
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商品レビュー
5
1件のお客様レビュー
なかなか面白い、奇怪な本だった。暇つぶしのコラム記事でも読むような気持ちで手に取ったのに意外なくらい鮮明に心に残ってしまった。晩年の江戸川乱歩と交流のあった作家小林信彦氏とその弟の対談、エッセイ、私小説、略年譜などといった形式の異なる文章で構成されているのだが、そうした断片に触れ...
なかなか面白い、奇怪な本だった。暇つぶしのコラム記事でも読むような気持ちで手に取ったのに意外なくらい鮮明に心に残ってしまった。晩年の江戸川乱歩と交流のあった作家小林信彦氏とその弟の対談、エッセイ、私小説、略年譜などといった形式の異なる文章で構成されているのだが、そうした断片に触れるうちに、かつて本当に生きていた人物としての江戸川乱歩像が自分の中で身を結んで行くような感じがした。江戸川乱歩と一時でも濃密に時を共にした人物の語りから伝わる不思議な実在感は、単に情報を集めた伝記やWikipediaなどからでは決して得られないものだろう。しかも友人や家族とは違う、雑誌の編集で関わるというビジネス上の絶妙な距離感なのがかえってリアルで良かった。まさにタイトル通り「回想の江戸川乱歩」としか言いようのない不思議さだ。断片を重ねて作られる想像の中の実在感という意味では、タブッキの『島とクジラと女をめぐる断片』に通じるものも感じた。 それにしても「昼間から土蔵にこもって蝋燭の火でエログロ小説を書く江戸川乱歩」は目薬屋が広告のために捏造した真っ赤な嘘だったのは驚いた。今でも時々テレビでまことしやかにアナウンスされているのが恐ろしい。そうした胡散臭い非常識人のイメージで見られるのを乱歩はとても嫌がっていたそうで、まぁそりゃそうだよなと同情した。
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