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夜明けへの道 新・文学の扉19
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夜明けへの道 新・文学の扉19

岡本文良(著者), こさかしげる

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夜明けへの道 新・文学の扉19

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 金の星社/
発売年月日 1993/12/01
JAN 9784323017495

夜明けへの道

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商品レビュー

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2024/01/14

本書の主人公であるビーム・アンベードカルと佐々井秀嶺、どちらも日本人にはあまり馴染みがありません。 アンベードカルはインドを再び仏教国へと復興させアウトカースト差別を廃止させた功労者、佐々井秀嶺氏は日本人でありながらインドで仏教寺院を建立した人物です。 インドには古くからカースト...

本書の主人公であるビーム・アンベードカルと佐々井秀嶺、どちらも日本人にはあまり馴染みがありません。 アンベードカルはインドを再び仏教国へと復興させアウトカースト差別を廃止させた功労者、佐々井秀嶺氏は日本人でありながらインドで仏教寺院を建立した人物です。 インドには古くからカースト制度という身分制度が存在して、カーストからはみ出した最下層をアウトカーストと呼び、日本ではかつての穢多非人の様な存在で、生まれながらその身分は固定されていました。アンベードカルはアウトカーストであるマハール族出身者で、自分の生きている内にその身分制度をなくしたいと考えていました。そのために猛勉強し、カースト制度はヒンズー教「マヌ法典」に由来し、最終的にはヒンズー教から仏教へと宗教替えすることでしか達成できないという結論に達します。その闘争過程では、あのガンジーとも対立しています。ガンジーは英国からのインド独立をアウトカーストをそのまま残す現状維持派でした。さらに、インド国民の英雄でもあるガンジーだからこそ可能だった断食作戦は、問題の本質を変えないまま相手からの譲歩を引き出す解決法だったため、中途半端に未解決の問題が残っていたのも事実です。 ところで仏教の祖、釈迦が生まれたインドは、長い年月でヒンズー教徒の国となり(1951年時点では、その内10%がイスラム教徒で仏教徒は0.05%以下)、特にヒンズー教、イスラム教など排他的な宗教間の対立から多くの死者を出しています。ちなみに、アンベードカルが仏教に改宗した1961年でも仏教徒はインド人口の0.74%にしか過ぎません。さらに残念ながら、現代に至るその後も仏教徒の人口割合が1%を超えることがないのは、仏教徒になろうとするインセンティブが働くのは元アウトカースト達だけという厳しい現実もあるようです。 とはいえ一人のインド人が、アウトカーストという差別に真っ向から立ち向かい、新仏教を復興させた偉業はやはり素晴らしいと言わざるをえません。

Posted by ブクログ

2012/05/15

本書は友人から紹介戴きました。 中学生向けの本(1994年 青少年読書感想文 全国コンクール 中学校の部 課題図書)であり、アンベードカルと佐々井秀嶺師の事がとてもわかりやすく書かれています。 ガンジーに対するイメージが、ちょっと変わってしまいました。それは、私がガンジーをよ...

本書は友人から紹介戴きました。 中学生向けの本(1994年 青少年読書感想文 全国コンクール 中学校の部 課題図書)であり、アンベードカルと佐々井秀嶺師の事がとてもわかりやすく書かれています。 ガンジーに対するイメージが、ちょっと変わってしまいました。それは、私がガンジーをよく知らなかったと言うことですが...。特にガンジーのカースト制に対する拘りは、未だ理解できてません。 少年ビーム(アンベードカル)の生い立ち、カースト社会の過酷さ、ビームの逞しさ、仏教へ辿りつく経緯などを知ることができました。 そして、それに続く佐々井秀嶺師の物語...ただこれはまだ続いていて、しかも先日、本人にお会いしたばかりなので、なんとも不思議な感覚で読ませて戴きました。 傍観的かもしれませんが、彼の後継者を名乗り出る日本人僧侶はいないものなのだろうか...と、日本人僧侶に対して、身勝手な不甲斐なさを感じてしまいました。 ガンジーやアンベードカル、佐々井秀嶺師の心理、専門書を読めば、もう少しわかるのかもしれませんが、深いインド社会における各々の複雑な想いは、外部からは知りえないのかもしれません。 印象に残った事実は、カースト社会の幼児婚の理由が「恋愛感情のめざめるまえに同じ身分の者と結婚させてしまう」と言うことです。他カーストの者へ恋愛感情を持ってしまったら大変ですから...。とても論理的ですが、どこかやるせない気持ちになりました。 そして大きな疑問となったのは「どこまでの変化が仏教と呼べる許容範囲なのか?」と言うことです。 アンベードカルや佐々井秀嶺師の仏教、大乗仏教を否定するわけではありません。ただ素直に生じた素朴な疑問です。ただこれは、誰かが答えを出すものでもなく、正解がないものなのかもしれません。 本書は中学生向けですが、アンベードカルや佐々井秀嶺師をよく知らない方にとっては、かなり役に立つと思います。私もそうでした。お薦めです。 ★★★★★ 以下、本書で共感した箇所です。 ☆page.23  その人たちを、それまで属していた身分から追放して、(カースト制の)四階級のどの身分にもはいらない、さらに低い身分につきおとしてしまうのです。そうして、その人たちを、「最下等の人間」とよんで区別したのです。  追放されるのは、愛し合った男性と女性だけではありません。生まれてきた子も、同じです。さらにその子から生まれてきた孫も、また同じです。それこそ、その一家は、子子孫孫まで、永久に、つきおとされたところから、うかびあがることができないのです。 ☆page.26  そうか。それで、インドには、わが子をまだ恋愛感情のめざめるまえに同じ身分の者と結婚させてしまうという、幼児婚の風習が生まれたのだな。 ☆page.130  ビームは・・・永遠の眠りについていました。65歳でした。翌1957年、『ブッダとその教え』が出版されました。多くのアウトカーストが、それを読んで、あらためてシャカを知りました。  ただし、古くからの仏教信者は、その本を批判しました。「この本には、シャカの教えを自分の都合のいいように解釈しているところがある。」  もしビームが、それをきいたら、答えたことでしょう。「たしいかに、そういうところがあるかもしれない。しかし、アウトカーストの人たちを救うためとわかれば、ブッダもそれをおゆるしくださると思う。」  実際、そのとおりで、シャカも、死のまぎわに弟子たちにいいました。「弟子たちよ。この世に、永遠不変のものはない。それゆえ、わたしのなきあとは、あなたたちひとりひとりが、自分自身の考えにしたがって、世の中の苦しむ人たちを救っていくがよい。・・・・・・」  その結果、仏教は、つたわった国によって、また同じ国でも宗派によって、めいめいすこしずつ内容のちがったものとなっているのです。ビームのとなえた仏教が、古くからの仏教と多少ちがっていたとしても、なんのふしぎもありません。だいじなのは、ビームがその仏教によって、多くのアウトカーストたちを救ったということなのです。

Posted by ブクログ

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