カウガール・ブルース

トム・ロビンズ(著者), 上岡伸雄(訳者)

• 販売会社／発売会社: 集英社/
• 発売年月日: 1994/01/20
• JAN: 9784087731859

商品レビュー

2019/08/07

巨大な親指を持つ主人公にとってはヒッチハイクが人生で，彼女がカウ・ガールズたちの騒動に巻き込まれ，飛び込み，時計仕掛けを管理する老人の子を身ごもる話．
何が何だか分からないだろうが，あとがきの「ピンチョンやヴォネガットと並ぶカルト作家として捉えられている」というところから察して欲しい．
本書が絶版なのは，実に惜しい．

2018/05/06

その比類なき密度。その、破天荒な豊かさ。‥例えるならばそれは、「特権は濫用すべき！」という、高らかな宣言なのだ。「平等」を求めるなんて馬鹿じゃないの、マイノリティ／異端であるならそれだけで、「不戦勝」に近いというのに。というような。

（この本は、気づいたら「みんな」とは違っていて、戸惑ったり死にたくなったりした経験のある、あなた／私のためにある。）

「勝敗」は、共有するルールが存在するときにのみ成立する。この物語の主人公・シシーは、生まれながらのとある事情によって、世の中とは別種のルールを身につけることになった。そのために、彼女を縛る世の理はほぼ何もない･･天衣無縫に、シシーがシシー自身であり続ける秘密はそこにある。

いつも十全に自分自身でいたいのに、つまらないルールや空気に揺らぐ私にとって、シシーは永遠の定点／ヒロインなのだろう。まったく、この素晴らしい物語ときたら、どこまでもチャーミングで無意識に訴えるパラドックスに満ち満ちていて。

「もし文明が壮大な失敗以外の結果に終わり得るのなら、もし存在の便所の脱臭剤以上のものに成り得るのなら、政治家たちは魔術と詩に関わらねばならんじゃろう。銀行家たちも魔術と詩に関わらねばならんじゃろう。『タイム』誌も魔術と詩について書かねばならんじゃろう。」

詩と魔術。心当たりのあるかたは、ぜったいに読んでほしい一冊。（そして翻訳は、上岡伸雄！　ハッハッ、ホーホー、ヒーヒー！）

2015/06/07

ダコタのラバーローズ牧場、シシー・ハンクショー、親指だらけのヒッチハイカー。ドクターロビンズ、伯爵夫人、チンク、ボナンザ・ジェリービーン。

2段組で400ページギッシリ、大きな物語を期待していましたが、どうもそうではなく、小ネタ満載？みたいな。フォローしきれなかったです。