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言語と妄想 危機意識の病理 平凡社ライブラリー37
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言語と妄想 危機意識の病理 平凡社ライブラリー37

宮本忠雄(著者)

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言語と妄想 危機意識の病理 平凡社ライブラリー37

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 平凡社/
発売年月日 1994/02/15
JAN 9784582760378

言語と妄想

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2024/10/09

さまざまな雑誌などに発表された著者の論文をまとめた本です。中心的なテーマになっているのは、主として現象学的な精神病理学の立場から芸術家についての病跡学的な考察をおこなっている論考と、統合失調症患者に見られる言語にかんする病理現象の解明をおこなった論考です。 病跡学的な考察でとり...

さまざまな雑誌などに発表された著者の論文をまとめた本です。中心的なテーマになっているのは、主として現象学的な精神病理学の立場から芸術家についての病跡学的な考察をおこなっている論考と、統合失調症患者に見られる言語にかんする病理現象の解明をおこなった論考です。 病跡学的な考察でとりあげられているのは、カフカ、ルイス・キャロル、上田秋成、ポウ、ダリ、ロダンとカミーユ・クローデルです。著者は、精神の病が彼らの創作活動を可能にしたという単純な見かたをしりぞけ、精神の病が社会の状況との関係のなかでつくられることに目を向けます。そして、20世紀の現代芸術においては、もはや芸術家の精神活動によって創作の質が規定されることはなくなり、健全な精神によって「分裂病的」な作品が生み出される一方、かつてのような劇的な精神の病理現象を示す患者が減っていったことを指摘し、社会と精神の病理の関係をめぐる重要な問題が存在していることを示唆します。 著者は統合失調症患者に見られる言語にかんする病理現象を、サンタグム的な結合力が衰退し、パラディグム的な連合が増殖することによって生じると考えています。そのうえで、中心となるべき「私」の焼失というべき特徴が見られると指摘しつつも、「みんなが‐私を‐迫害する」という構造のもとで増殖が生じる「幻覚型」と、そうした対話構造がうしなわれてしまい、「言葉が〈もの〉のうえにまで降りていかない」まま、ことばが散乱させられていく「妄想型」という、二つの類型を区別します。 ここで注目するべきことは、本書に収録されている「空間と空間的思考」という論文で著者がおこなっている、統合失調症患者の空間認識をめぐる考察です。著者は、一人称的な「風景」と三人称的な「地誌」を区別し、二つの視点を自由に往還することができなくなることが、空間認識にまつわる病理現象を生み出しているとしたうえで、太陽に象徴される「中心化への衝動」が病からの回復につながると主張しています。この論点が、「幻覚型」と「妄想型」のちがいをめぐる著者の議論につながっているように思われます。

Posted by ブクログ

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