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日本児童文学名作集(下) 岩波文庫
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内容紹介 | 内容:蜘蛛の糸 芥川竜之介著. 三人兄弟 菊池寛著. 笛 小島政二郎著. 一房の葡萄 有島武郎著. 木の葉の小判 江口渙著. 三人の百姓 秋田雨雀著. 寂しき魚 室生犀星著. 幸福 島崎藤村著. 蝗の大旅行 佐藤春夫著. でたらめ経 宇野浩二著. 手品師 豊島与志雄著. ある島のきつね 浜田広介著. 水仙月の四日・オツベルと象 宮沢賢治著. 鷹の巣とり 千葉省三著. 影法師 内田百間著. 魔法 坪田譲治著. 大人の眼と子供の眼 水上滝太郎著. がきのめし 壷井栄著. 月の輪グマ 椋鳩十著. 牛をつないだ椿の木 新美南吉著 |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店/ |
発売年月日 | 1994/03/16 |
JAN | 9784003114322 |
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商品レビュー
3.8
8件のお客様レビュー
芥川龍之介、島崎藤村…
芥川龍之介、島崎藤村らが描く児童文学雑誌『赤い鳥』。各文豪の写真とプロフィールも掲載。かすかな記憶の底にあった児童文学の世界を堪能できます。
文庫OFF
大正・昭和期の日本の児童文学選集。「赤い鳥」に掲載された芥川竜之介「蜘蛛の糸」(1918)から新美南吉「牛をつないだ椿の木」(1943)までの21編を収める。「赤い鳥」には、お伽噺から脱し、鈴木三重吉の審美眼によって選ばれた数々の童話が掲載された。とても流行したようで、この選集...
大正・昭和期の日本の児童文学選集。「赤い鳥」に掲載された芥川竜之介「蜘蛛の糸」(1918)から新美南吉「牛をつないだ椿の木」(1943)までの21編を収める。「赤い鳥」には、お伽噺から脱し、鈴木三重吉の審美眼によって選ばれた数々の童話が掲載された。とても流行したようで、この選集にも8編が収録されている。とはいえ、宮沢賢治を選ばないのは今から見るとちょっと偏ってると思うし、トムやハックを野卑なものとして排斥するなんて、三重吉と私は絶対気が合わないな…。 芥川竜之介「蜘蛛の糸」(1918)「赤い鳥」掲載時の鈴木三重吉が手を入れたバージョンを収録。青空文庫が元の版なのかな、読み比べてみたが、改行や語尾(でした、です)などに手を入れているようだ。久しぶりに読んだが気持ちいいくらい切れ味がある。 菊池寛「三人兄弟」(1919)。こちらも「赤い鳥」。菊池寛っぽい。3兄弟の中では二郎次がいちばん気の毒か。 小島政二郎「笛」(1919)。「赤い鳥」。 有島武郎「一房の葡萄」(1920)。「赤い鳥」。この話がいちばん好き。主人公の僕の気持ちがすごく良くわかる。いじめられるところとか身につまされるし、翌日、学校に行きたくない気持ちもすごくわかって胸が痛い。良い先生で本当に良かったし、僕自身もがんばって乗り越えて本当に良かった。 江口渙「木の葉の小判」(1920)。「赤い鳥」。 秋田雨雀「三人の百姓」(1920)。すごく良い。褒美なんかより育てた子供の愛おしいこと。 室生犀星「寂しき魚」(1920)。「赤い鳥」。井伏鱒二「山椒魚」の世界観。 島崎藤村「幸福」(1921)。寓話。 佐藤春夫「蝗の大旅行」(1921)。 宇野浩二「でたらめ経」(1925)。 豊島与志雄「手品師」(1923)。「赤い鳥」。異国の香りがする面白くて怖い話。 浜田広介「ある島のきつね」(1924)。 宮沢賢治「水仙月の四日」(1924)。寒さの表現の美しくも厳しいこと。3番目に好き。幕切れも鮮やか。 宮沢賢治「オッベルと象」(1926)。タイトルは知っていたが初めて読んだ。こんな話だったのかと衝撃。これは大正プロレタリアートの匂い。 千葉省三「鷹の巣とり」(1928)。現代にも通じそうなやんちゃな男の子たちの冒険物語。甘えの三ちゃんがいいね。 内田百閒「影法師」(1929)。 坪田譲治「魔法」(1935)。「赤い鳥」。お兄ちゃんと弟のスケッチ。良くわかる。 水上滝太郎「大人の眼と子供の眼」(1923→1936)。 壺井栄「がきのめし」(1941)。これは4番目に好き。少女たちの体験がリアリティを持って描かれる。 椋鳩十「月の輪グマ」(1942)。熊は恐ろしいので、絶対に母熊を怒らせてはいけない。少し危うい。椋鳩十が動物たちに対するスタンスをもう少し他の本で読む必要がある。 新美南吉「牛をつないだ椿の木」(1943)。2番目に好き。新美南吉は瞳がとても綺麗なひとだったのではないだろうか。主人公の海蔵さんを嫌いになれる人がいるとはとても思えない。もちろん、道徳の香りもするけれども、でも本当に心が洗われ、自分自身を反省する。
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※このレビューにはネタバレを含みます
読みたかった作家が何人もいた。長いお話だと容易に手が出せないけれど、本作は児童文学を集めた名作集ということもあり、とても読みやすかった。色々な作家への入り口を作ってもらえてうれしい。 作品のはじめに各作者の紹介文が入ってるのも個人的にはありがたい。このへんは岩波書店さまさま。 菊池寛、有島武郎、室生犀星、島崎藤村、宇野浩二、内田百閒、椋鳩十、こんなふうに並べて書いてみて、改めてこの一冊を読めたことの収穫が大きかったのをひしひしと感じる。 一作、とても好きだったものを挙げるとしたら、椋鳩十の「月の輪グマ」。作中の子グマがとても可愛らしく、また読み終わった後に通りすがる切なさが心地よい。
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