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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | みすず書房 |
発売年月日 | 1993/05/20 |
JAN | 9784622045625 |
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商品レビュー
4.3
4件のお客様レビュー
翻訳家である著者が、フランスを中心とする翻訳史を渉猟しつつ、翻訳にたずさわったさまざまな人びとの足跡をたどっています。 翻訳という営みには「他の文化との接触のありようが凝縮されている」と著者は述べています。いつの時代にも、たがいに異なる文化が衝突し、混じりあい、影響しあう最前線...
翻訳家である著者が、フランスを中心とする翻訳史を渉猟しつつ、翻訳にたずさわったさまざまな人びとの足跡をたどっています。 翻訳という営みには「他の文化との接触のありようが凝縮されている」と著者は述べています。いつの時代にも、たがいに異なる文化が衝突し、混じりあい、影響しあう最前線となってきたのが翻訳という舞台だとされています。 本書で紹介されている人物のなかで、とりわけ印象的だったのが、17世紀のフランスに生まれたアンヌ・ダシエでした。生涯のすべてを古代の探究に注ぎ込んだ彼女は、ホメロスの『イリアス』と『オデュッセイア』の翻訳に力を注ぎます。ところが、彼女の翻訳に対する誹謗に近い批判がラ・モットによって出されたことがきっかけで、古代ギリシアやローマがいまなお自分たちの手本になりうるかという論争が巻き起こります。ラ・モットは、粗野で無知な時代に生まれたホメロスの作品を翻訳するにあたって、「保存すべきと思われる箇所のみを取り、しかも遠慮なく修正を加え」てよいと主張しました。 ヨーロッパにおける「近代」の誕生は、古代を熱烈に崇拝するルネサンスを出発点としています。しかし、その後しだいに古代の権威は揺らぎ出し、時代とともに人間は知的にも道徳的にも進歩を遂げるという確信がいきわたっていくことになります。こうした風潮とともに、古代の文化に対する侮蔑が人びとの心に芽生えはじめます。アンヌ・ダシエはこうした風潮に対して、古代の偉大さを説くとともに、同時代のフランス人の傲慢さを厳しく咎めています。 このほか、ニュートンの自然哲学を紹介したエミリー・シャトレの数奇な生涯や、ドニーズ・クレルーアンという歴史に埋もれた翻訳家を著者が掘り起こすエピソードなども興味深く読みました。
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※このレビューにはネタバレを含みます
人にとっては大変お世話になるであろう 翻訳書。 はい、私もすでに手元に2冊ほど 翻訳書と言われるものを持っています。 翻訳をなす人は本来は一流の職業と言われていました。 しかしながら、歴史の変遷により そうでなくなった時も存在しました。 翻訳書を読んでいると この人絶対に苦労しただろう、と思われる 本を見かけることがあります。 この本のメインとなっているフランス文学に そのような作品がありましてな… (べらんめぇ口調だし、言葉遊びがあるし… それはどうしても日本語にはできないようでした) 様々な翻訳史を 飾る人たちが出てきます。 中には、宗教の異端の前に その身を散らせる人もいました。 いつの時代もまともな人が 犠牲になるものね。
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翻訳の歴史は、文化の伝播や学問の発展の軌跡そのもの。世界史でならった、ばらばらの知識が、翻訳、という視点を通すとつながって見える。面白い。この、翻訳が時空や空間を超えていく感じ、図書館の機能と同じだなあ、と思っていたら、あとがきの多くの部分が図書館にまつわる話だったので、妙に納得...
翻訳の歴史は、文化の伝播や学問の発展の軌跡そのもの。世界史でならった、ばらばらの知識が、翻訳、という視点を通すとつながって見える。面白い。この、翻訳が時空や空間を超えていく感じ、図書館の機能と同じだなあ、と思っていたら、あとがきの多くの部分が図書館にまつわる話だったので、妙に納得してしまった。 著者も含め、翻訳者の情熱が伝わってくる、知的な楽しみが得られる本。
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