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帰ってきたマルタン・ゲール 16世紀フランスのにせ亭主騒動 平凡社ライブラリー33
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帰ってきたマルタン・ゲール 16世紀フランスのにせ亭主騒動 平凡社ライブラリー33

ナタリー・ゼーモンデーヴィス【著】, 成瀬駒男【訳】

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帰ってきたマルタン・ゲール 16世紀フランスのにせ亭主騒動 平凡社ライブラリー33

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 平凡社/
発売年月日 1993/12/15
JAN 9784582760330

帰ってきたマルタン・ゲール

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2008/12/26

私は高校生のときは歴史は嫌いで地理の道に進んだのですが,大学院の入った頃から地理学の歴史への関心から徐々にヨーロッパの歴史が好きになりました。私はいろんな分野の本を読むのですが,今では歴史書もローテーションの仲間入りです。哲学,批評,社会学,地理学,たまに人類学や心理学,そして歴...

私は高校生のときは歴史は嫌いで地理の道に進んだのですが,大学院の入った頃から地理学の歴史への関心から徐々にヨーロッパの歴史が好きになりました。私はいろんな分野の本を読むのですが,今では歴史書もローテーションの仲間入りです。哲学,批評,社会学,地理学,たまに人類学や心理学,そして歴史学です。 そんな趣味的読書(歴史学は読むのには楽しいがとても研究として実践するには技術がない)の蓄積を使って,地理学の講義をしているのです。地理学というのは古い学問で紀元前からあるのですが,その講義ではそうした地理学や地図製作の歴史を中心に据えながらも,実は脇道の方が多い。自然科学や社会思想が大半です。 歴史は知れば知るほどその知識の関連性が分かってきて楽しくなるんですよね。そんなことでこの本。以前彼女(デーヴィスは女性歴史家)の著書『愚者の王国 異端の都市』を読みましたが,これも成瀬駒男さんが翻訳に関わっていて,同じ姓でなんとなく気になる存在。さらに,著者が女性だってことが他の歴史書とは違った視点で面白いんです。 さて,この『帰ってきたマルタン・ゲール』ですが,歴史書の割には薄いんです。というのも,この本はもともとこの歴史家が脚本を手がけてフランスで製作された同名の映画の脚本に,より歴史的な補足を加えたものを英訳する際により歴史書らしい体裁に編集しなおされたものです。この映画は1982年に製作され日本で公開されたどうかは分かりませんが,フランスの有名な俳優ジェラール・ドパルデューが主演ということですから,単なるB級映画ではないようです。 そんな映画にもなりそうな史実ですから,結構面白い。16世紀フランスで若くして結婚した男女。ようやくして子どもを一人もうけましたが,その頃旦那であるマルタン・ゲールが失踪してしまいます。その後スペイン軍の兵士として参戦したという噂もありました。しかし,失踪から10年以上経って,マルタン・ゲールを名乗る男性が妻子の住む町に戻ってきたのです。20歳そこそこで失踪し,帰ってきたので,写真もない時代にはそれが本人かどうか確かめる術は記憶以外にありません。その男は親戚や知人に会うなりかれらを名前で呼び,過去の出来事について語りかけることで多くの人を納得させました。 しかし,それと同時に戦争で片足を失ったという噂と一致しないなどの,彼が本人であるかどうかを疑う要素も数多く出てくるのです。そんなこんなで裁判沙汰になるのですが,最後の最後で片足が義足のマルタン・ゲールを名乗るもう一人の男が現れます。結局,そのことで裁判にはけりがつき,最初の男が(最後までマルタン・ゲールであることを主張したわけですが)偽称の有罪となり,死刑になってしまったのです。 そんな面白い話ですから,この事件を面白おかしく物語仕立てにする本は,当の16世紀から20世紀まで継続的に書かれてきました。しかも,その一番はじめのものはこの事件を扱った裁判官によって書かれたもの。しかしその一方で,この事件を直接根拠付ける史料には乏しいというのです。ということで,史実に基づきながらも映画用にそれなりに面白おかしく書いた脚本を歴史学者として加筆したのが本書。そもそも,この時代にこんな事件が何故起こったのかを,それ自体の史料が少ないのでその時代の歴史的背景から迫ろうとするものです。特にプロテスタント精神と女性の生活の悦びという観点です。特に後者は重要で,当然この時代には不倫などもってのほかで,彼女はにせ亭主の口車に騙されたということになっていますが,著者は彼女なりにこの男を別人と知りながらも愛し,にせ亭主のほうも情を移していったと推測しています。前の亭主よりも誠実で性生活の方もうまくいっていたということですが,世間体は元の夫婦のままである方が都合がよかったということです。

Posted by ブクログ

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