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筒井順慶 新潮文庫
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商品詳細
内容紹介 | 内容:筒井順慶.あらえっさっさ.晋金太郎.新宿祭 |
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販売会社/発売会社 | 新潮社/ |
発売年月日 | 1993/06/25 |
JAN | 9784101171296 |
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筒井順慶
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筒井順慶
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商品レビュー
3.9
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SF作家が先祖の汚名を晴らす抱腹絶倒の歴史パロディ
▼『筒井順慶』といえば、本能寺の変の直後羽柴秀吉と明智光秀が争った「山崎・天王山の合戦」において、合戦場を眼下にする「洞ヶ峠(ほらがとうげ)」まで出張って、どちらにもつかずに日和見をした大名として有名になった人物だ。 いまでも去就をはっきりさせないで模様眺めをしている人のことを...
▼『筒井順慶』といえば、本能寺の変の直後羽柴秀吉と明智光秀が争った「山崎・天王山の合戦」において、合戦場を眼下にする「洞ヶ峠(ほらがとうげ)」まで出張って、どちらにもつかずに日和見をした大名として有名になった人物だ。 いまでも去就をはっきりさせないで模様眺めをしている人のことを「洞ヶ峠を決め込む」…なんて陰口される。 ▼筒井順慶は織田に吸収された勢力で、明智光秀の組下大名として明智の指揮下で織田家のために各地で戦った。居城は大和郡山城。 光秀は信長を倒したあと、細川藤孝・忠興親子や中川清秀、池田恒興、高山右近、そしてこの筒井順慶といったかつて指揮下にあった組下大名らを味方にして畿内一帯を押さえて天下を掌握しようとした。 ▼ところが「主殺しの汚名をかぶった光秀に今後の主導権をとるのは厳しいだろう」と見た畿内周辺の織田系大名は明智に味方せず、中立または羽柴軍へ合流の途を選んだ。 順慶もまた備中の秀吉応援のため郡山城を出陣したが、本能寺の急変を聞いて大和の動揺を防ぐためいったん郡山城へ引き返していた。 ▼秀吉の大軍到着を見て、光秀は矢継ぎ早に郡山城に使いを出し、明智の手勢の一部を「洞ヶ峠」(ほらがとうげ)に出張らせて順慶の返事を待った…というのがいまでは有力説だ。 ▼この作品の著者筒井康隆氏は、先祖が大和の出身で筒井氏の子孫ということになっているが、それは作品の展開上必要なシチュエーションのようだ。 先祖の汚名を晴らすために著名作家として『筒井順慶』を取材して書き進めていく課程を描いたドタバタの現代劇、SF歴史パロディ?として腹を抱えて読める歴史モノでもある。 ▼筒井康隆氏といえば、『時をかける少女』『七瀬ふたたび』などのSF小説で知られ、ドラマの脚本なども書き下ろす傍ら、サスペンス枠で脇役を演じたりするマルチな作家でもある。 作品では同族の美女筒井帝子や編集者の藤田電子など様々な関係者、はては俳優の岡田真澄までが登場する。 そして筒井氏に絡んで先祖順慶の汚名返上取材に手を貸していく。 同時に初の歴史長編作品の原稿がどこの出版社から出されるか…の争奪戦が、編集者間で駆け引きを生む。 「洞ヶ峠」の謎を解き明かしながら、クライマックスでは順慶自身が時空を超えてテレポートし酒盛りに加わって現代人に重要なメッセージを放つ。 ▼「わたしを日和見順慶と呼びたければそう呼んでもいい。汚名をぬぐい去られるよりは、日本全体の日和見主義の罪障意識の犠牲になっていた方が楽だ。」と現代人に言い置いて未明の青山通りに消えていく。 ▼山崎にしろ関ヶ原にしろ、予断を許さない大事件を前にすれば、上に立つ者は迷い悩んで去就を決めかねるのがふつうの人間だ。 筒井順慶にとって何より大事なことは自ら血を流して手に入れた大和の所領と筒井の家臣たちだ。 そもそもそれを守りたくて信長に従い、信長の命令で明智の指図を受けてきた。 順慶は「運命の天王山」を前にして、羽柴に分があると思いながらも、秀吉に敵対しない旨密書を送り、再三の明智の味方懇願は黙殺した。 ▼山崎一帯と郡山城のある奈良盆地を同時に見据える「洞ヶ峠」で煩悶していたのは光秀側のほうだった。 順慶にとっては、どちらかに与して領地を増やすかまたは滅びるかではなく、いかにして大和の国をこの局面から守り抜くかであったことだろう。 爆笑しながら、真実の「洞ヶ峠」を知る、読みやすい作品だった。
柳生聡
これは筒井康隆さん本…
これは筒井康隆さん本人の話なんでしょうか?筒井順慶は実際にいたらしいです。
文庫OFF
初読はこのカバーではなく、騎馬武者が槍のようなモノを持った図案。そして、記憶の中の「筒井順慶」の書き出しと現実のそれは全く違っていた。どうやら、カバー裏のあらすじ(ウラスジというらしい)を本文と勘違いしていたのだ。時代小説、特に実在の人物伝と言えども、行間を埋めるのは著者の取材力...
初読はこのカバーではなく、騎馬武者が槍のようなモノを持った図案。そして、記憶の中の「筒井順慶」の書き出しと現実のそれは全く違っていた。どうやら、カバー裏のあらすじ(ウラスジというらしい)を本文と勘違いしていたのだ。時代小説、特に実在の人物伝と言えども、行間を埋めるのは著者の取材力と想像力だ。SF作家の鬼才である筒井氏は普通に物してしまうのだろうが、そうは問屋が卸さない。現実の編集者やら筒井順慶の子孫とのからみから、最後はやはりSF的なエンディングへ。なぜか爽やかな読後感が得られた。
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