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あの人は帰ってこなかった 岩波新書530
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 岩波書店/ |
発売年月日 | 1993/03/18 |
JAN | 9784004150121 |
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あの人は帰ってこなかった
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商品レビュー
3.7
4件のお客様レビュー
岩手県の山あいの集落に住む戦争未亡人の、来し方についてのインタビュー集。家族に成人男性がいないことで、様々な苦労があったことがわかる。そもそも力仕事の農業をやるのだって大変なのに、村落の共同作業に参加しても婦人は一人前に数えてもらえないとか。夜に男が複数人押しかけてきて性交渉を...
岩手県の山あいの集落に住む戦争未亡人の、来し方についてのインタビュー集。家族に成人男性がいないことで、様々な苦労があったことがわかる。そもそも力仕事の農業をやるのだって大変なのに、村落の共同作業に参加しても婦人は一人前に数えてもらえないとか。夜に男が複数人押しかけてきて性交渉を強要しようとする、断ると家の中を荒らして帰って行くなんて話は、ちょっとシャレにならない。でも、そういう苦労は、未亡人なら戦争に関係なくあったとことなのではないかとも思う。 昭和の戦争でも、はじめの日中戦争のうちは戦死者も少なくて、未亡人も大事にしてもらえたけれど、末期の頃はそうでもなかったとのこと。戦後7年(だったかな?)たって恩給の給付が始まって、ようやく経済的な困窮から脱することができたケースが多いようで、男手がない農家の暮らしは本当に大変そうだと思った。
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戦後二十年目に戦争未亡人を訪ねたインタビュー集である。 本書で訪ねた戦争未亡人は岩手のとある集落であって、日本全体の傾向とはまた違うのかもしれないが、それでも貴重な記録である。 彼女達の多くは終戦時点で二十歳そこそことまだ若かったのだが、この集落の未亡人のほとんどが再婚せ...
戦後二十年目に戦争未亡人を訪ねたインタビュー集である。 本書で訪ねた戦争未亡人は岩手のとある集落であって、日本全体の傾向とはまた違うのかもしれないが、それでも貴重な記録である。 彼女達の多くは終戦時点で二十歳そこそことまだ若かったのだが、この集落の未亡人のほとんどが再婚せず、独身を通した。それにはいくつかの理由がある。 一つ目は夫の生死が不明だったこと。一応官報で死亡が伝えられるわけだが、送られてくるのは空の木箱であることも多く、本当に死んだのかはわからなかった。もちろん信じたくなかったということもあるが、実際死亡が伝えられていた人が後日ひょっこり復員してくる事例もあり、なかなか再婚に踏み切れなかったのである。 二つ目は子供がいたこと。子のない未亡人は実家に帰されることもあったようだが、本書に登場する未亡人達にはみな子があった。親の子の以前に家の子という意識も強かった当時においては、離縁するということは子を置いていくということでもあった。愛する子であり、愛する夫の忘れ形見でもある子と離れるというのは、彼女達には耐えがたかったのだろう。 三つ目は周囲の目である。「戦死者の妻は操を守るべき」という雰囲気があり、再婚したり、別の男と恋仲になったりすることはふしだらであるとされた。それでいて「夫がいなくては寂しかろう」などといった無遠慮な言葉をかけられたり、何か頼みごとをした際に誘われたり、酷いと押し入って乱暴したりということもあった。周囲が勝手に「操」なるものを押し付けた挙句、操を守りにくいような環境を作り、結果的に他の男と関係を持った未亡人をふしだらと侮蔑する、マッチポンプのような迫害があったのである。 そして四つ目が公的扶助である。昭和27年から戦死者の家族には遺族年金が支払われるようになるのだが、未亡人の場合、再婚するとこの年金は打ち切られ、その後離婚しても復活しない。不運にも相性の合わない男と再婚してしまった場合、離婚しようにも生活が成り立たなくなってしまうのだ。これがあるために再婚をためらう者もいたという。 こうした条件が重なって、仕事と育児に忙殺されているうちに、気が付けば二十年目を迎えていたというのが彼女達である。 今となっては戦時中のことを覚えている人は少なくなってしまったが、昭和39年はまだそこかしこに戦後が漂っていた時代である。が、彼女達の子供のインタビューによれば、戦中戦後生まれにとっては直接の戦争の記憶があるでなし、父の面影も知らず、世間的にも戦死者の子供だからどうという見方もほとんどなかったという。 二十年経ったからといって愛する夫を失った彼女達の心の苦しみがそう簡単に癒えるわけでもなく、また一人親であるが故の経済的その他の苦労も解消されるわけでもない。にもかかわらず世間の風当たりは強く、「いつまでもめそめそするな」とか、「貰うものを貰っておいてまだわがままを言うか」とかいう声も強かった。 別の本によれば、戦後二十年といえば、まだ帝国軍人の上官クラスも多く存命で、彼らに都合のいい、戦場での誉を称えるようなものしか出版できなかった時代とされている。そのような環境の中で、本書のような民衆の、それも戦争未亡人という忘れ去られやすい存在に着目し、丹念に聞き取りをした記録というのは大変貴重なのではないかと思われる。 聞き書きという形であり、方言をそのまま収録している点も、その語り口や、静かな感情というものをよく伝えているように思う。
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教科書。 戦争未亡人へのインタビュー集。「英霊の妻」という幻想の身分に縛られ、社会や彼女らがそれで身分を確保されている”否定されてはいけない「戦争」”というものから、彼女たちが舐めたであろう辛苦が行間から伝わる。
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