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オンリー・イエスタデイ 1920年代・アメリカ ちくま文庫
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オンリー・イエスタデイ 1920年代・アメリカ ちくま文庫

F.L.アレン【著】, 藤久ミネ【訳】

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オンリー・イエスタデイ 1920年代・アメリカ ちくま文庫

定価 ¥1,047

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 筑摩書房
発売年月日 1993/03/24
JAN 9784480027184

オンリー・イエスタデイ

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3.8

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2023/08/08

作者のアレンは、雑誌編集者にして民間の歴史学者。 本書は、1931年に、アメリカの黄金時代=1920年代をオンリー•イエスタデイ(つい昨日のこと)として生き生きと回顧したもの。 当時当たり前であったことも、それが無くなると、あっという間に忘れ去られる。 忘れ去られる前に、克明に記...

作者のアレンは、雑誌編集者にして民間の歴史学者。 本書は、1931年に、アメリカの黄金時代=1920年代をオンリー•イエスタデイ(つい昨日のこと)として生き生きと回顧したもの。 当時当たり前であったことも、それが無くなると、あっという間に忘れ去られる。 忘れ去られる前に、克明に記録に留めたのだ。 しかし、執筆時、その黄金時代は既に終焉を迎え、アメリカは繁栄の絶頂から大恐慌の奈落へと落ち込んでいた。 その意味では、バブル崩壊後に、バブルで踊る社会を描いたドキュメンタリーと言える。 バブルを永遠に繰り返す限り、本書に描かれている内容は時代様相こそ異なれ、基本的構図は永遠に繰り返すことになるのだろう。 今から丁度百年前、アメリカは熱狂に駆られて第一次世界大戦へと突き進んでいった。 誰一人、大戦争など予期していない。すぐに終わる簡単な戦争だと思っていた。 それが、すべての人々の予想を裏切ってドミノ倒しの様に戦線が拡大し、長期にわたる史上例を見ない悲惨な大戦争となっていった。 これを読むと百年前の1914年は「現在」だと、思わされ、慄然とする。 総力戦の戦場となり、多くの若者が死んでいった西欧を尻目に、ひとりアメリカは第一次世界大戦が終了すると、大繁栄の道を突き進んでいく。 その未曾有の繁栄こそが「現代」を生み出した、というのが著者の見立てだ。 しかし、アメリカの大繁栄=黄金時代を作り出したのはバブル経済だった。 安易な利益獲得に狂奔する多くの人々、つまり「大衆」がこの時、登場したのだ。 現代社会の定義が大衆社会、大衆消費社会だとしたら、20年代のアメリカこそが、「現代」社会を生み出したと言える。 (現代社会=大衆社会の登場を鋭い感性で感受し、30年代のアメリカにおいて、現代社会を主人公として描いたのがエドガー•アラン•ポーだった。) 20年代の最終年1929年に、計ったかの様にバブルは吹き飛ぶ。 大恐慌の幕開けだ。 20年代の「古き良きアメリカ」は、オンリー•イエスタデイ(つい昨日)まで存在したのだが、気がつけばそれは雲散霧消していた。 そのつい昨日まであった「古き良きアメリカ」の姿を文字で書き止めようとしたのが本書だ。 本書がベストセラーとなったのは、誰もが本書を「古き良きアメリカ」という文化に対する鎮魂歌として読んだからだ。 確かに、ひとつの文化が死んだのだ。 80年代末にニューヨークに住んでいた。 若きドナルド•トランプがマンハッタンにトランプ•タワーを建て、アメリカ経済の雄ともてはやされていた。 ワールド•トレード•センター(WTC)には何度上ったかしれない。 大統領はレーガンからブッシュ(父)に交代し、ウォール•ストリートでの就任演説を間近で聞いた。 そのブッシュの息子が大統領となり、WTCがテロで崩壊し、悪名高きドナルド•トランプが大統領になるなどということは、「バック•トゥ•ザ•フューチャー」で、ロナルド•レーガンが大統領になると言って大笑いされる映画よりも、もっと映画的だ、いや悪夢的だ。 ドナルド•トランプがヤンチャな経営者だったのもオンリー•イエスタデイだったのだ。 1920年代のアメリカとはどんな社会だったのか? 大統領は、不正とスキャンダルに塗れて現職のまま死んだ第29代大統領ウォレン•ハーディングの時代。 ハーディング政権のひどい為体(ていたらく)が辛辣に描かれる。 ハーディングの死を受けて大統領に就任したのが、副大統領だった第30代大統領ジョン•カルヴィン•クーリッジ。 彼は、経済的不作為を貫くことで、「レッセ•フェール」の自由経済を生み出し、狂騒と繁栄の20年代を作り出す。 一方、この時期は禁酒法の時代でもあり、密造酒によって莫大な利益を上げたギャングたちが横行した。 アル•カポネの時代でもあったのだ。 本書を読み進めると、現代日本の予言の書であったのか、と空恐ろしくなる。 まるで1980年代の日本のバブルとその崩壊をまざまざと思わせるのだ。 景気変動は繰り返していく。 バブルという実体なき欲望の狂騒を作り出すのは景気という「気」だ。 バブルが弾けると、その痛い経験をした人々がいる間はバブルは起こらない。 しかし、一度、その人々が退場すると、またしても熱狂の渦が襲ってくる。 景気循環とは、人々の熱狂と失望の絶えざる繰り返しだ。 だから、本書が80年代の日本と似ているのは当然なのだ。 その意味では本書はどの時代、どの地域のバブル経済とその終焉に似ている。 バブルの再現なき繰り返しが「現代」を作り出すという恐ろしさを感じて本書を閉じるしかない。

Posted by ブクログ

2014/10/08

[ 内容 ] 車、不動産ブーム、性の解放…。 「黄金の20年代」から「現代」が始まった。 [ 目次 ] 1章 プレリュード―1919年5月 2章 常態への復帰 3章 「赤」の脅威 4章 回復期に向かうアメリカ 5章 生活のしかたと道徳の革命 6章 ハーディングと醜聞 7章 クー...

[ 内容 ] 車、不動産ブーム、性の解放…。 「黄金の20年代」から「現代」が始まった。 [ 目次 ] 1章 プレリュード―1919年5月 2章 常態への復帰 3章 「赤」の脅威 4章 回復期に向かうアメリカ 5章 生活のしかたと道徳の革命 6章 ハーディングと醜聞 7章 クーリッジ時代の繁栄 8章 誇大宣伝時代 9章 知識人の反乱 10章 アルコールとアル・カポネ 11章 ふるさと、なつかしきフロリダ 12章 大強気相場 13章 崩壊 14章 余波―1930年、31年 [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]

Posted by ブクログ

2013/02/12

 1920年代のアメリカ、大衆消費社会という今日の高GNP国家・社会の原型がほぼ出そろった、という意味で歴史的意義の高い社会であろう。そんな時代を多くの資料を整理し、構造的に示すことで一般読者に分かりやすく具現化してくれた一冊であろう。その手法は見事で、具体的イメージが目に浮かん...

 1920年代のアメリカ、大衆消費社会という今日の高GNP国家・社会の原型がほぼ出そろった、という意味で歴史的意義の高い社会であろう。そんな時代を多くの資料を整理し、構造的に示すことで一般読者に分かりやすく具現化してくれた一冊であろう。その手法は見事で、具体的イメージが目に浮かんでくる。と同時に、理論的説明はなく、印象的記述にとどまっているという弱点も指摘できる。まあ、一冊の本ですべての視点からの歴史叙述を行うなど不可能なので、そんな高望みはしない。  面白い本であることは間違いないので、おすすめできる本です。

Posted by ブクログ

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