落日の門

連城三紀彦【著】

• 販売会社／発売会社: 新潮社/
• 発売年月日: 1993/04/20
• JAN: 9784103475057

商品レビュー

2018/11/18

二・二六事件を題材にした5編を集めた連作短編集。疑似歴史小説ということなので、歴史的事実はあくまで背景であり、実在人物は登場しない。

二・二六事件といっても、ここで展開されるのは大きなドラマではなく、ごく少数の関係者によるエピソード。がしかし、その中には濃密な愛憎劇と心理戦が繰り広げられ、一作ごとに深みへと引きずり込まれるような作者の「凄み」が垣間見える。

表題作をベースとして、事件の関係者のその後が各話ごとに紡がれるという構成。時代が前後し、脇役が主役になり、それぞれの繋がりが真相によって明らかになるので、車酔いに似た感覚での読書となった。作中に「逆縁」というワードが出てくるが、その一言が示すように、怒涛の反転劇がめまぐるしく展開される。若干やりすぎな感もあるけど、やっぱりこれだけの筆力があれば結局最後には納得して、その情念の世界にハマっちゃうのよねー。

2017/02/18

こ…これはフィクションだよね？絡まる人間関係に、真実が露わになる度、ほおぉぉぉ？と引き込まれていました。２．２６事件の日を核に紡がれる世界。実際の歴史も詳しく知りたくなりました。

2014/04/10

再読。“二・二六事件”を素材にした連作短篇集。それぞれの短篇の反転もさることながら、連作としての仕掛けも完璧という連城マジック炸裂な逸品。お気に入りは「家路」かな。