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幸福の無数の断片 河出文庫BUNGEI Collection
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 河出書房新社/ |
発売年月日 | 1992/10/06 |
JAN | 9784309403496 |
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幸福の無数の断片
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商品レビュー
3.3
4件のお客様レビュー
映画やアート、音楽、文学などについて著者がこれまでにさまざまな場面でおこなってきた論評をまとめた本です。 これまでも、著者の思考はさまざまなジャンルを横断するときにもっとも冴えるように感じていたのですが、本書に収められているような短い文章でも、けっして一つの場所にとどまることな...
映画やアート、音楽、文学などについて著者がこれまでにさまざまな場面でおこなってきた論評をまとめた本です。 これまでも、著者の思考はさまざまなジャンルを横断するときにもっとも冴えるように感じていたのですが、本書に収められているような短い文章でも、けっして一つの場所にとどまることなく、論じられている対象の一瞬のきらめきをかすめとってあざやかに身をひるがえすような印象を読者に残します。おそらくこうした著者のアクロバティックなスタイルが、著者の分析がまったく対象の奥に秘められた深い意味にとどいていないという不満を感じることもあれば、対象を思いもかけない可能性へと示しているように感じることもある理由なのではないかという気がします。
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- ネタバレ
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「バルド」って言葉を取り上げてる文章があった。「バルド」っていうのは、「あいだ」を意味する言葉で、仏教用語としては一つの死から次の輪廻転生までの期間を指すらしい。その期間にある人(魂?)は肉体を離れた純粋意識の状態にあるという。 こういう場で宗教とか「死」とかの言葉を出すとタブーに触れた感じがして、空気が冷えるのを感じるんだけど、僕はこの仏教用語を知ったとき「さなぎ」という言葉を思った。蝶のさなぎってのは、殻で覆われてはいるものの、その中身はドロドロで無形態の状態にある。蝶は、幼虫であることをやめ成虫へと変態するために、一度自らの輪郭を崩壊させるのだ。 僕は昔々にさなぎがそういうものであることを聞いて、このグロテスクさに衝撃を受けた。けどそれが、成長とか変化とかいったものの本質的な在り方であることを後から知った。そもそも生き物の発生は進化を反復するらしいから。そうでなくても、本当にいい映画とか芸術に出会うと、自分がさなぎになってることを実感する。それを見る前の自分を形作っていたものがすべて崩壊し混ざり合って、そのアートを中心にして再構築されていく感じ。自分のことだからそれをグロテスクだとは思わないしもちろん体には何とも変化がないんだけど、でも、それを見る前の自分がその時「死んだ」ことは感じるよね。そういう意味で、僕はたまに自分が幼虫でも成虫でもなくさなぎになっていることを自覚する。だからバルドも、別に日常に潜んでるもののようにも思える。 ちなみにこの批評対象は横尾忠則の『地球の果てまでつれてって』という日誌集で、バルドという言葉も横尾忠則を形容してる。まだ横尾忠則にそういうバルド性を感じたことはないし、いずれこの日誌集も読んでみたい。もしかすると、新たなバルドへと入っていけるかもしれない。
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これも知り合いからもらった本。さすがその知り合いの人がディープな人なだけあって、本もなかなかディープだった。 というか中沢新一って知らなかったけど、めっちゃ博学なインテリって感じ。この本を読むには芸術系の知識が乏しかったなぁと思い、そういった方面の知識ももっと身に着けていきたいと...
これも知り合いからもらった本。さすがその知り合いの人がディープな人なだけあって、本もなかなかディープだった。 というか中沢新一って知らなかったけど、めっちゃ博学なインテリって感じ。この本を読むには芸術系の知識が乏しかったなぁと思い、そういった方面の知識ももっと身に着けていきたいと思った。カトリックは聖書を読まないっていうのがなぜか頭にずっと残ってた。笑 一番最後の「透明への偏愛」という話で、三島由紀夫の名前が出てきたことに驚いた。三島の「金閣寺」と音楽との関係の捉え方とか凡人なおれには読解不可能。 全体的にここに書かれている内容の知識に乏しいおれは、読んでるときはおぉって思うことも多々あったけど、頭に全然残っていない。 これ10年後くらいに再読したほうが良いな。
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