聞き書き ある憲兵の記録 朝日文庫

朝日新聞山形支局【著】

• 販売会社／発売会社: 朝日新聞社/
• 発売年月日: 1991/02/20
• JAN: 9784022606372

商品レビュー

2024/09/21

『しかし、語らなければならない。罪過を書き残すことが、贖罪につながると思う土屋にとって、どんなに非人間的なことであり、語るのが辛いことであってもだ。（中略）半截河での忌まわしい出来事は、（中略）土屋が自ら中国の人たちの人間性を無視し、悪業の限りを尽くす、一人前の憲兵となっていく過程でもあった。』
（P.91より）

これが戦争なんだろうと思います。ロシアでもウクライナでもおそらく同じようなことが行われていると思う。わずか100年以内の出来事である。善悪で言えば悪に決まっているがこのような状況に陥らないように国際社会は共存すべきであろう。綺麗事ではあるが、戦うのは末端の庶民だ。

2020/11/29

ちょっとアレの匂いがして面白い。
最初の貧しい家に生まれるあたりの描写から始まり、最後も良い。
この人がずるいのは、「私がやりました」ではなく「周りにやってる人がいました」と言っている所。
自身の告白は時代背景を考えるとある程度許容される悪事のみ。
ある思想を持った人間が書いたんだなと思って読むと、楽しめる一冊。
知識ゼロから読むのではなく、ある程度分別がつくようになってからそういう本だと思って読むとかなり楽しめる。

2018/08/27

戦争において勝った側が負けた側を裁くことは国際法違反で、したがって土屋氏のことを戦犯として記載していることには大いに違和感がある。
本書に書かれている残虐な行為は、土屋氏が特別な人間だったからではなく、当時の環境下では誰しもが多かれ少なかれ同じように行動してしまったのではないか。
とすれば本当に罪を負うべきは誰なのだろうか？
軍人に残虐な行為を指示した軍部か？戦争を始めた政治家か？世論で政治家を動かした国民か？