宇宙から見た自然 新日本新書421

池内了【著】

• 販売会社／発売会社: 新日本出版社/
• 発売年月日: 1991/01/26
• JAN: 9784406019231

商品レビュー

2017/12/16

一般の読者にも手に取りやすい宇宙物理学の入門書を数多く執筆している著者が、比較的若い頃に執筆した本です。

『月刊学習』に「桑原渉」の名義で執筆した「自然科学と唯物弁証法」という連載が本書のもとになっているとのことで、いわゆる唯物論の立場から当時流行していたニューエイジ・サイエンスに対する苦言を述べている箇所もあります。著者はその後『疑似科学入門』（岩波新書）などで同様のテーマに取り組んでいますが、そうした著者の問題意識の出発点が示されているように思います。

また、「星は、重力と圧力が互いに相反する力として拮抗し（矛盾）、必然の結果として中心部は高温となって熱が外に流れ出る」といった叙述で「矛盾」ということばが使われているのを見ると少し驚かされますが、おおむね現代の宇宙物理学の成果がわかりやすいことばで解説されています。