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謎とき『カラマーゾフの兄弟』 新潮選書
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 1991/06/20 |
JAN | 9784106004018 |
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謎とき『カラマーゾフの兄弟』
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謎とき『カラマーゾフの兄弟』
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商品レビュー
4.3
12件のお客様レビュー
翻訳家・ロシア文学研究家の江川卓さんによる「謎とき『罪と罰』」に続くドストエフスキー解説書。「謎とき」と題名にある通り、娯楽性に富んだ本で、たくさんの「なるほど」が詰まっています。 ざっとピックアップすると -ドストエフスキーには「カラマーゾフ」という言葉を一種の普通名詞とし...
翻訳家・ロシア文学研究家の江川卓さんによる「謎とき『罪と罰』」に続くドストエフスキー解説書。「謎とき」と題名にある通り、娯楽性に富んだ本で、たくさんの「なるほど」が詰まっています。 ざっとピックアップすると -ドストエフスキーには「カラマーゾフ」という言葉を一種の普通名詞として登録しようとする意図があった。1934年に刊行されたウシャコフの『ロシア語解釈辞典』には、「カラマーゾフシチナ」という名詞が登録され、次のような語義が出ている。 「極度のモラル感の久如、無抑制の情熱にともなわれ、道徳的堕落と高揚した精神的衝動との間の不断の動揺を特徴とする、風俗的、民族的、ないし心理的現象である」 -アリョーシャはキリストに擬せられていると考えられる。エピローグの最終章で、アリョーシャの演説に立会った少年たちの数が「十二人ほど」となっていて、十二使徒との連想を誘う。また、「第二の小説」で「皇帝暗殺団」に関与するであろうアリョシャーについて、ユダの出現をさえ予定していたとも推測できる -「悪臭」は「カラマーゾフの兄弟」の全編をつらぬくキーワードであるといえる。下僕の「スメルジャコフ」という姓は、母親の綽名である「いやな臭いのリザヴェータ」をもじって作られたものであり、スメルジャコフにはつねに「悪臭」のイメージがつきまとう。 -『カラマーゾフの兄弟』は3という数を構成原理として作られているかのような趣きがある。ミーチャがカチェリーナから猫ばばする金額は、ちょうど3,000ルーブルであり、フョードルがグルーシェンカに贈ろうとする金も、やはり3,000ルーブルである。それにも増して注目されるのは、全四部から成るこの長編が、各部それぞれ三編構成になっている点である。3と4の数は、それぞれに、「過去にいました神」、「現にいます神」、「未来に来らん神」を表わす数として、また東西南北、ないし四大元素を表わす数として古来神聖視され、いわば完全数とされてきた -『カラマーゾフの兄弟』で20歳の青年として登場するアリョーシャは、「第二の小説」では13年後には33歳になっているはず。この年齢はドストエフスキーの理解していたキリストの没年と一致する -筆者は「カラマーゾフ」という姓の字解きから「黒いキリスト」というイメージをそこに読みとり、アリョーシャ・カラマーゾフを「黒いキリスト」に擬した。去勢派において「白」が神聖な色であったことを考えると、スメルジャコフに「白いキリスト」という名を与えることも、充分に可能ではあるまいかと考える などなど たいへん面白い本ですが、やはり『カラマーゾフの兄弟』全巻を事前に読まないと、この本の面白さは伝わりません。まずは、『カラマーゾフの兄弟』に挑戦することをお勧めします。
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・カラマーゾフは黒く塗るの意味。それ以外にもペニスの意味も ・呼び方があなたからあんたに変わるのは、肉体関係を経ないと通常はない。なので終盤イワンとエカチェリーナは肉体関係を持っていた ・ロシア正教の鞭身派は性を禁じ半裸で手や鞭で叩き合いその恍惚で悟りを得ようとするが、それが...
・カラマーゾフは黒く塗るの意味。それ以外にもペニスの意味も ・呼び方があなたからあんたに変わるのは、肉体関係を経ないと通常はない。なので終盤イワンとエカチェリーナは肉体関係を持っていた ・ロシア正教の鞭身派は性を禁じ半裸で手や鞭で叩き合いその恍惚で悟りを得ようとするが、それが乱交に発展するようになった。それに反対した者たちが去勢派となり、女性は乳首や乳房を切り取る。男性は睾丸を切除しそれを周囲に見せて「見よ、蛇の頭は挫かれたり、キリストはよみがえりたまえり」と宣言する
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※このレビューにはネタバレを含みます
最初に告白すると、まだ『カラマーゾフの兄弟』をきちんと読んだことがありません。 しかし有名な古典ですからもちろんストーリーは知っています。 そしてその長大さも。 だから今さら『カラマーゾフの兄弟』を読もうとは思いません。 『罪と罰』を読まなくったってあんなに面白いのだから(©『罪と罰』を読まない)、『カラマーゾフ』を読まなくてもいいじゃないかと。 でも、この本を読めば読むほど、深いんです。 日本語に翻訳されてしまうとわからない、ロシア語が持っている言葉の意味が幾重にも幾重にも張りめぐらされているドストエフスキーの巧み。 末っ子のアリョーシャが純真な神学生であることからも、宗教が重要な意味を持っていることは知っていましたが、ロシア正教という、キリスト教でありながらなじみのないその宗教が物語に果たす役割。 小説の場面に沿って謎を提示され、解き明かす過程を読んでいると、どんどん原作そのものを読んでみたくなってしまいます。 『カラマーゾフ兄弟』でも『カラマーゾフ家の兄弟』でもない『カラマーゾフの兄弟』。 このタイトルも、考えつくされたものであって、日本語翻訳の不備ではないのです。 こんなに長い作品が、実は未完の作品の第一部だったという。 第二部はアリョーシャが皇帝殺しの犯人として出てくるはずだったらしいです。 私のなかでは『屍者の帝国』に出てくるアリョーシャが第二部のイメージなのですが。 読まずに想像するのも楽しいですが、読んで確かめたくなってしまうのが私の悪いくせ。 だけどそんな時間、あるかなあ。
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