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イワナの夏 ちくま文庫
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 筑摩書房 |
| 発売年月日 | 1991/05/28 |
| JAN | 9784480025333 |
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イワナの夏
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商品レビュー
3.8
7件のお客様レビュー
自然の美しさと渓流釣りの魅力が詰まったエッセイ集で、著者は釣りを通じて感じた風景や心の動きを繊細に描写しています。新潟や群馬、長野の豊かな自然の中での釣りの体験は、釣りをしたことがない人でも楽しめる内容となっており、特に川魚への愛着や、少年のように自然と戯れる姿勢が印象的です。流れる水音や生き物の息遣いを感じながら、時間が止まる瞬間を描いた表現は、読者に深い共感を呼び起こします。釣りを通じて得られる心の解放や、夏の思い出を振り返る切ない感情も、作品の大きな魅力です。全体的に流麗な文章が、まるで純文学を味わうかのような清冽さを感じさせ、珠玉のエッセイ集としての評価を得ています。
※この内容はAIが作成したものであり、ブックオフ公式オンラインストアの見解や意図を示すものではありません。
詩的で情感溢れ、自分…
詩的で情感溢れ、自分も川に立っている感覚になりました。タイトルどおり、夏に読むと心地よい感じです。
文庫OFF
1987年刊。もとは、83~86年に雑誌等に掲載されたエッセイ、11篇。 文芸誌「文學界」の編集長も務めた人だが、文学の話は出てこない。もっぱらイワナやヤマメの渓流釣り。場所は新潟、群馬、長野(銀山平、毛渡沢、越後中里、赤谷川、南相木川……)。そのほか、岩手(産女川)、海外はヨセ...
1987年刊。もとは、83~86年に雑誌等に掲載されたエッセイ、11篇。 文芸誌「文學界」の編集長も務めた人だが、文学の話は出てこない。もっぱらイワナやヤマメの渓流釣り。場所は新潟、群馬、長野(銀山平、毛渡沢、越後中里、赤谷川、南相木川……)。そのほか、岩手(産女川)、海外はヨセミテにも行っている。植村直巳と千曲川の上流に渓流釣りに行った話も出てくる。 渓流釣りに行きたいのにどうにもならない時には、グレン・グールドのバッハを聴いて、心を鎮めるという。この天才ピアニスト、実は釣り人の敵。少年時代、夏の湖畔のボートでトラウマ体験をした。釣られて舟の上でのたうちまわるパーチ、なんて残酷なことをするんだ! かくして釣り人を撲滅する人と化した。ピアニストとして名声を博しても、モーターボートで「釣りをやめろ!」と走り回った。その怒るグールドに対し、湯川は弁明を試みているのだが……。ちょっと苦しいかな。 全体的に、文章もエピソードもさらりとしている。井伏鱒二と比べてみるのも一興。
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池澤夏樹さんが、『わたしのなつかしい一冊』の中で、この本の文章を引いて紹介していらした。その文章に『ひと読みぼれ』して、これは夏に読むべき本だと思い決めた。読もうと思えば、すぐ読めたのに、後生大事に今まで取っておいたのだ。 今年の夏は、つい先日に軽井沢に行った。旅だといえば、必...
池澤夏樹さんが、『わたしのなつかしい一冊』の中で、この本の文章を引いて紹介していらした。その文章に『ひと読みぼれ』して、これは夏に読むべき本だと思い決めた。読もうと思えば、すぐ読めたのに、後生大事に今まで取っておいたのだ。 今年の夏は、つい先日に軽井沢に行った。旅だといえば、必ず本をもって行かなくてはならぬ。ないと落ち着かない。9月であったが、この旅の道連れは、この本と定めた。すなわち、読み終わるまでは、誰がなんと言おうと、私の中では夏である、と。 読み始めたら、お誂えに、信州での釣りの話が出ていた。ホテルのベランダには、気持ちの良いテーブルセットがあり、美しい自然の川が見えた。鳥も来るし、蝶が舞い上がってゆくのすら見える。そこでこれを読んだ。至福であった。 私の釣り体験は、小学校四年生。北軽井沢の至近、美ヶ原高原にあった、ちいさな釣り堀一回きりである。竹の竿に、買った餌を付けて、数匹を釣り上げ、その場で塩焼きにしてくださったのを食べた。手に来る釣れた感じと、魚を引き上げるタイミングの面白さを、こんなに時間が経っても覚えている。本格的な釣りを嗜むなら、なお面白いであろう。 のっけから、フライと書かれてあっても、それがフライフィッシングのことであろうと思い至るまでに、ちょっとかかった。知らない言葉があっても、文章の流れを切りたくなくて、そのままずんずん読み進んだ。 緑の匂い、葉擦れの音、清流の済んだ水毬。美しい銀の魚。跳ねる姿態。トレッキングブーツで踏んだ土のにおいと感触。夜の気配。焚き火やそこで飲むコーヒー。釣りという、その一事で、尊敬していたり、友情を持っていたり。そういうよきもの。著者様に言わせれば、『悪魔の趣味』の滋味を、文章から分けて頂いた。 今もこの本にあるような、素朴で清々とした佇まいの自然や人とのつながりがあるかどうか。釣りのつの字も知らない私には、確かめには行けないのだが。それにしても、なんでもかんでも、知っていなくてもいい気がした。知らないからこそ、読んだ時の感動は大きい。 この本の瑞々しさは、忘れられないと思う。 それと、行方不明になられた冒険家、植村直己さんとの交友。川への渉猟も収められていて、『植村』と呼び記しておられる文章に胸を衝かれた。偉大な業績を残した人であることは、勿論よくわかっておられて、なお。自然の中では、ただ、友であるということが、くっきり浮き上がる。 ルポや映像で伝えられる植村さんとは、また違う。見送る著者様の心中は、いかばかりだったか。落ち着いた文章だからこそ、伝わってくるものがあった。 全く何も知らずに読んでも、美しい、詩情のある文章で、よくぞ紹介してくださったとも思うし、読もうと思い決めた自分を褒めたくなる程に面白かった。他にも釣りのエッセイで面白いものはあるのだろうか。あるなら読んでみたいものだ。
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