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イワナの夏 ちくま文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 筑摩書房/ |
発売年月日 | 1991/05/28 |
JAN | 9784480025333 |
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イワナの夏
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商品レビュー
3.6
6件のお客様レビュー
詩的で情感溢れ、自分…
詩的で情感溢れ、自分も川に立っている感覚になりました。タイトルどおり、夏に読むと心地よい感じです。
文庫OFF
池澤夏樹さんが、『わたしのなつかしい一冊』の中で、この本の文章を引いて紹介していらした。その文章に『ひと読みぼれ』して、これは夏に読むべき本だと思い決めた。読もうと思えば、すぐ読めたのに、後生大事に今まで取っておいたのだ。 今年の夏は、つい先日に軽井沢に行った。旅だといえば、必...
池澤夏樹さんが、『わたしのなつかしい一冊』の中で、この本の文章を引いて紹介していらした。その文章に『ひと読みぼれ』して、これは夏に読むべき本だと思い決めた。読もうと思えば、すぐ読めたのに、後生大事に今まで取っておいたのだ。 今年の夏は、つい先日に軽井沢に行った。旅だといえば、必ず本をもって行かなくてはならぬ。ないと落ち着かない。9月であったが、この旅の道連れは、この本と定めた。すなわち、読み終わるまでは、誰がなんと言おうと、私の中では夏である、と。 読み始めたら、お誂えに、信州での釣りの話が出ていた。ホテルのベランダには、気持ちの良いテーブルセットがあり、美しい自然の川が見えた。鳥も来るし、蝶が舞い上がってゆくのすら見える。そこでこれを読んだ。至福であった。 私の釣り体験は、小学校四年生。北軽井沢の至近、美ヶ原高原にあった、ちいさな釣り堀一回きりである。竹の竿に、買った餌を付けて、数匹を釣り上げ、その場で塩焼きにしてくださったのを食べた。手に来る釣れた感じと、魚を引き上げるタイミングの面白さを、こんなに時間が経っても覚えている。本格的な釣りを嗜むなら、なお面白いであろう。 のっけから、フライと書かれてあっても、それがフライフィッシングのことであろうと思い至るまでに、ちょっとかかった。知らない言葉があっても、文章の流れを切りたくなくて、そのままずんずん読み進んだ。 緑の匂い、葉擦れの音、清流の済んだ水毬。美しい銀の魚。跳ねる姿態。トレッキングブーツで踏んだ土のにおいと感触。夜の気配。焚き火やそこで飲むコーヒー。釣りという、その一事で、尊敬していたり、友情を持っていたり。そういうよきもの。著者様に言わせれば、『悪魔の趣味』の滋味を、文章から分けて頂いた。 今もこの本にあるような、素朴で清々とした佇まいの自然や人とのつながりがあるかどうか。釣りのつの字も知らない私には、確かめには行けないのだが。それにしても、なんでもかんでも、知っていなくてもいい気がした。知らないからこそ、読んだ時の感動は大きい。 この本の瑞々しさは、忘れられないと思う。 それと、行方不明になられた冒険家、植村直己さんとの交友。川への渉猟も収められていて、『植村』と呼び記しておられる文章に胸を衝かれた。偉大な業績を残した人であることは、勿論よくわかっておられて、なお。自然の中では、ただ、友であるということが、くっきり浮き上がる。 ルポや映像で伝えられる植村さんとは、また違う。見送る著者様の心中は、いかばかりだったか。落ち着いた文章だからこそ、伝わってくるものがあった。 全く何も知らずに読んでも、美しい、詩情のある文章で、よくぞ紹介してくださったとも思うし、読もうと思い決めた自分を褒めたくなる程に面白かった。他にも釣りのエッセイで面白いものはあるのだろうか。あるなら読んでみたいものだ。
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釣りの小説として評判は良かったけど、思ったほどのめり込むような内容ではなかった。山本素石のような"旅感"を感じるエッセイが自分には合っている。
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