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石の花 少年少女世界名作の森20
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 集英社 |
発売年月日 | 1990/09/20 |
JAN | 9784082850203 |
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ロシアの小説家、パーヴェル・バジョーフ(1879-1950)の児童向けの作品です。 溶接工の家に生まれたバジョーフは、長じて、学校の先生として働きながら、生地・ウラル地方の昔話を収集しました。その後、1917年に始まった革命に参加し、ジャーナリストとしての活躍も経て、作家となりま...
ロシアの小説家、パーヴェル・バジョーフ(1879-1950)の児童向けの作品です。 溶接工の家に生まれたバジョーフは、長じて、学校の先生として働きながら、生地・ウラル地方の昔話を収集しました。その後、1917年に始まった革命に参加し、ジャーナリストとしての活躍も経て、作家となります。ウラル地方の伝説を盛り込みつつ、労働者階級の暮らしを生き生きと描いた作品集『孔雀石の小箱』は大きな評判を呼びます。短編が次々に書き加えられて最終的には50編ほどを収めた形で出版されます。 本書はこの『孔雀石の小箱』から3つのお話(「石の花」、「山の石工」、「タユートカの鏡」)を選んでいます。「石の花」は特に有名なお話で、映画やバレエにもなっています。 いずれのお話もファンタジックでありながら、登場人物たちが人間味ある「生身」の人間として描かれており、ストーリーにも起伏があって飽きさせません。 以下、簡単に見ていきます。 「石の花」 やせっぽちのみなしごの少年、ダニーロは、ちょっと変わった子供でした。用を言いつけられてもてきぱきとこなすこともせず、人におべっかを使うこともなく、虫や葉っぱを眺めたり、角笛を吹いたりするのが好きだったのです。愛想を尽かされたダニーロは、皆に恐れられる、おっかない石工プロコーピィチ親方の元に修行に行かされます。石のことなど何も知らないはずなのに、親方の石の切り方に異を唱えるダニーロ。最初は腹を立てた親方でしたが、驚いたことにダニーロの言い分の方が正しいことに気がつきます。「こいつはすごいやつかもしれん」。親方は次第に、ダニーロに一目置き、かわいがるようになります。やがて立派な若い石工に成長したダニーロにはカーチャという恋人もできます。地主の旦那に頼まれた大盃の細工物もそれはそれは見事に仕上げるのですが、ダニーロには満足のいくものではありませんでした。いつしか、ダニーロは、伝説の「山の女王」の元で働く、「山の石工」の仕事が見たいと願うようになります。カーチャとの婚礼の夜、ついにダニーロは「山の女王」がいるかもしれないヘビ山を目指します・・・。 「山の石工」 「石の花」の続きのお話です。婚礼を目前にいいなずけのダニーロの行方がわからなくなってしまったカーチャは、お嫁にも行かず、ダニーロを待っています。年老いたプロコーピィチ親方を父と呼び、一緒に暮らすことにします。親方も寄る年波、体に悪い石工の仕事を続けたため、もう長くはなさそうです。一人になってしまったら、暮らしていくことができないと思ったカーチャは、石工の仕事を教えてくれるよう、親方に頼みます。女が石工の仕事をするなど、考えられないこと、と親方は拒みますが、カーチャは見よう見まねで細工を覚え、根負けした親方も簡単なことを教えてくれるようになります。やがて親方は世を去ります。工房に残っているのは半端な石ばかり。途方に暮れたカーチャは、山に入って石を探すことにします。そこでカーチャが見つけたものは・・・。 「タユートカの鏡」 鉱山で働く寡黙なガブリーロ。おかみさんは事故でなくなり、息子も死んでしまって、後に残ったのは小さな娘、タユートカだけ。日中は一人で留守番をさせることになりますが、小さい子のいる家に火を焚いておくわけにはいきません。かわいそうなタユートカは冬は寒い部屋で待っていなければなりません。山に女の子を連れていくのは、本当はいけないことですが、ガブリーロはタユートカに息子の服を着せ、仕事場に連れて行くことにします。ある日、意地悪な見張りのエラスコは、とても危ない場所の仕事をおとなしいガブリーロに押しつけます。その日、ガブリーロは男の子のふりをさせたタユートカも連れてきていました。親切な仲間のポルカルプィチじいさんは、「山の女王はきっと子連れのガブリーロにあわれみをかけてくださるよ」と声を掛け、二人と一緒に危ない持ち場へと向かいます。そこでタユートカは不思議な物を見つけます・・・。 それぞれの登場人物がちょっとずるかったり、怖いけれども実は優しいところもあったりと、血が通っている感じです。波瀾万丈の人生を生きた作者の観察眼が生きています。 「山の女王」は、どこか「雪の女王」を思い出させます。美しいけれど、柔らかくはない、硬質の心を持っているようです。 冷たいといえば冷たいですが、凛とした輝き。 人知を越えた石の結晶の美には、そんな湿り気やぬくもりのない煌めきを持つ女王こそがふさわしいのかもしれません。
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