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燃える平原 叢書 アンデスの風
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商品詳細
内容紹介 | 内容:おれたちのもらった土地.コマドレス坂.おれたちは貧しいんだ.追われる男.明け方に.タルパ.マカリオ.燃える平原.殺さねえでくれ.ルビ-ナ.置いてきぼりにされた夜.北の渡し.覚えてねえか.犬の声は聞こえんか.大地震の日.マティルデ・アルカンヘルの息子.アナクレト・モロ-ネス |
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販売会社/発売会社 | 書肆風の薔薇 |
発売年月日 | 1990/11/30 |
JAN | 9784891762407 |
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燃える平原
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2013.3記。 メキシコの作家、フアン・ルルフォの短編集。かの国の歴史についてはほとんど何も知らないが、大よそ大地主による支配、共和制革命と内乱といったようなことがあったのだろう。そうした背景を想像させる短編が並ぶ。 一つ一つの作品はどれもごく短い。ストーリーらしいストーリ...
2013.3記。 メキシコの作家、フアン・ルルフォの短編集。かの国の歴史についてはほとんど何も知らないが、大よそ大地主による支配、共和制革命と内乱といったようなことがあったのだろう。そうした背景を想像させる短編が並ぶ。 一つ一つの作品はどれもごく短い。ストーリーらしいストーリーのないものさえある。感覚としては小説というよりむしろ絵に近い(著者は著名な写真家でもあったらしい。なるほど・・・)。例えば、「おれたちのもらった土地」は、貧しい農民が政府からあてがわれた荒野(おそらく「農地解放」的な名目だったのだろう)をただトボトボと歩いている、というだけの話なのだ。それでも灼熱の太陽と砂埃、貧困と希望と絶望、それらが痛いほど伝わってくる。「待ってくれ、お役人さん。おれたちゃ役所に文句を言ってんじゃねえんだ。ただあの平原がどういうとこなのか・・・ありゃどうにもならんとこなんだ。それを言ってるだけなんだ。ちゃんと説明するから、待ってくれ。」(P.13) 。 たった一頭の牛に牧草を与えたい一心で地主を殺し、何十年後かに捕えられて命乞いもむなしく復讐される「殺さねえでくれ」、何をやってもうまくいかず、北米に密入国を図るが国境で狙撃されむなしく逃げ帰る「北の渡し」、屋根まで人であふれかえる列車が盗賊によって脱線させられ、重い機関車が客車を引きずるようにして谷底に落ちていくシーンが信じがたいほどの強烈さで脳裏に焼きつく「燃える平原」・・・。著者の作品はこの短編集と中編「ペドロ・パラモ」の2つのみ、それで文学史上にその名を永遠に残すことになった。ラテンアメリカ文学、いいかげん豊穣すぎるぞ・・・
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あの「ペドロ・パラモ」の著者であるフアン・ルルフォの短編集。 彼は生涯に「ペドロ・パラモ」とこの短編集しか残さなかったそうだ。 「ペドロ・パラモ」は大勢の死者達が時空を超えて飛び回る幻想的な長編だったのに対し、この短編集に収められているのは、どれも無様になりながらも生き延...
あの「ペドロ・パラモ」の著者であるフアン・ルルフォの短編集。 彼は生涯に「ペドロ・パラモ」とこの短編集しか残さなかったそうだ。 「ペドロ・パラモ」は大勢の死者達が時空を超えて飛び回る幻想的な長編だったのに対し、この短編集に収められているのは、どれも無様になりながらも生き延びようとする男たちの、厳しい現実の話ばかりである。 いや、もしかしたら「生き延びよう」ではなく、「死者に置いてきぼりにされて」しまった男たちの物語なのかもしれない。 読んでいると嫌でも、雨の一滴も降らない、カラカラに乾いたメキシコの風土が思い出される。 淡々と物語が進む印象があり、ちょっと地味かな、と思えたりもするのだが、結局は最後まで一気に面白く読み通してしまった。 最後の「アナクレト・モローネス」のシニカルなラストには思わずニヤリとしてしまった。
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◆メキシコの焼けつく大地に縛りつけられた人々を描いた短篇集。「おれたち」に与えられた土地は土壌のない、かちんかちんにかたい平原だった。過酷な地で生きる道を探して彷徨う17の群像。どの話でも、たどり着く安寧の地が見えず途方に暮れる男について、乾いた筆致で短く語られている。「おれたち」は背中に重い荷物(時に死体、病人、銃)を背負い、坂を上り、坂を下り、死と生の境界を彷徨い続ける。読むにつれ、情け容赦ない平原に生きる無数のちっぽけな「おれたち」とその連鎖が、総体として立ち昇るように現れ迫り、読むものに強い印象を与える。 ◆面白かった。一気に読むべし。「おれたちは貧しいんだ」「タルパ」「マカリオ」「燃える平原」「犬の声は聞こえんか」がことに好き。 ◆この後に『ペドロ・パラモ』に進める幸せと、それでルルフォ作品を読み終わってしまう残念さを感じる。 ◆読後、日本人作家の満州ものを読み比べてみたくなる。 【2014/02/05】
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